アリス・イン・ザ・アンダーワールド
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た刃はその切れ味を示すかのように鋭く、そして冷たく輝いている。
その光に圧倒されたように残る二匹のゴブリン達は一歩後ろに下がった。
「な、なんだよそれ……なんなんだよぉ!」
先程まで自分が絶対的な強者で捕食者だ、という様子がなぜか崩れ、怯える犬が吠えるように震えている。
「ああ……そうか」
剣を軽く振るう。鋭く空気を切るような音を聞きながら、自分の現在の感情を理解する。
「無意識に威圧していたみたいだな」
抑えるのは得意だと思っていたのだが、詩乃や直葉やユウキたちと触れ合う中で少しずつ緩んでいたらしい。
「さてと……生きて帰れると思うなよ?俺の彼女の一人を狙ったのが運の尽きだと思え」
「う、うがぁぁぁ!! 死ねぇぇぇ!!」
自棄になったのか、同時にかかれば勝機があると思ったのか、手に持った野太刀を大上段に構えながら二匹が同時に走ってくる。
……ガラ開きの胴を晒しながら。
身体の調子からして現実とほぼ同等の身体能力だと予測できる。
ならば……視覚を誤認させ二匹の間を抜けるのも容易。
地面を蹴って速度をゼロから一気にトップまで持っていく。
そして走り抜けた後、ゴブリン達が俺の位置認識を修正し、振り向こうとしたその瞬間、断末魔をあげる暇さえなく砕け散った。
「ふう……」
一息ついて剣を納めようとしたが、鞘がないことに気づき動きを止める。
……抜き身で持っていけばいいのだろうか?
「あ、鞘を作るの忘れてた」
突然、剣からユウキの声が聞こえると剣が光りだし、刃が鞘に覆われた剣が現れた。
「……喋れるのか?」
「うん! 人型にも戻れるよ?」
この場所が危険だとわかった以上、ユウキが人型に戻るのは得策ではないか。
おそらくだが、ユウキの言っていたアンダーワールド内のダークテリトリーという場所にいると思われる。
ペインアブソーバーもないらしいし、慎重に人の住む領域に戻りたい。
「そういえばソードスキルってどの辺りまで使えるのかわかるか?」
「んー……OSSは全部ダメ。あとレベルは初期化されてるから今の燐が使えるのは初級までかな?」
「そうか……」
試しにバーチカル・アークを放ってみる。……しっかりと発動した。
続いてバーチカル・スクエアを放ってみる。……発動しなかった。
かなり選択肢が狭まるな。使えるスキルも確認できないし、かなりシビアだ。
「あとALOよりも自由度というか意識の力が威力に直結してる気がするよ。菊岡さんは心意って呼んでたけど……」
「まあ、大丈夫だろ」
和人みたいにリアルがモヤシならともかく、俺はリアルでもそれなりに武術を修めてきた。だから問題ない。
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