第一章
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一気に飲むんだ」
彼は言った。
「そうやって一気にね」
「それが飲み方ですか」
「そういうことだよ。僕は酒は楽しんで飲まないんだ」
言いながら吸い終えた煙草を黒い灰皿の上に置いてだ。そのうえで再びグラスを手に取ってその中に半分程度残っていたグラスを見るのだった。
グラスの中のウイスキーはブラウンの光を放っていた。店の証明に照らされそれでその褐色の独特の光を彼とバーテンに見せていた。
「あえて苦しんで。それで飲んでいるんだよ」
「それはまた変わった飲み方ですね」
バーテンはその言葉を聞いて首を傾げさせた。
「またどうして。そんな風に飲んでるんですか?」
「闘いだよ」
彼はそのグラスの中のウイスキーを見続けたまま言った。
「これはね。闘いなんだよ」
「闘いなんですか」
「そうだよ。闘いだよ」
それだというのだ。
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