第百六十五話 両雄の会同その八
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「天下を治められる方です」
「武門の棟梁として」
「その余をないがしろにして好き勝手するなぞ」
それこそだというのだ。
「許せぬわ」
「だからこそ抑えられたのですな」
「ここは」
「うむ、ではな」
それではだというのだった、そうして。
そうした話をしてだった、その中で。
義昭はあらためてだ、その天海と崇伝に対してこう問うたのだった。
「それで茶や能の用意は」
「既に出来ております」
「そちらも」
当然ながら信長や顕如に見せるものだ、このこともまた義昭が幕府の威光、権威を見せる為のものである。尚そうしたことを行う銭はおろか彼等が今いる二条城を建てたのも織田家であるが義昭は胃に介していない。
そのうえでだ、こうも言う義昭だった。
「よいことじゃ、ではな」
「はい、では」
「準備を整えましたので」
「双方を呼べ」
織田家も本願寺もだというのだ。
「この城にな」
「では和議ですな」
「その話に入りましょうぞ」
こう話してだ、そしてだった。
早速都にいる織田家と本願寺にそれぞれ使者が送られる、今回もその使者は天海と崇伝の二人である。
二人がそれぞれ双方に伝えた、するとだった。
信長は再び使者に来た天海にだ、こう答えた。今彼は本能寺に宿を置きそこで諸将を集めて天海と会っている。
そのうえでだ、彼は言ったのである。
「あいわかった」
「それではですな」
「今より二条城に参上する」
義昭の招きに従う形でだというのだ。
「そうさせて頂く」
あえてだ、己を下座に置いての言葉だった。
「是非な」
「かたじけないお言葉、それでは」
天海も笑顔で応える、だがその笑顔は妙にどす暗い。
そのどす暗い笑顔でだ、こう信長に言うのだった。
「すぐに二条城に参上して下さい」
「そうさせて頂こう」
「では」
それではとだ、天海も応えてだった。
信長に義昭からの言葉を伝え終わると彼は二条城に先に向かった、信長はその彼を見送ってからであった。
二条城に主な家臣達と共に参上した、それは顕如も同じだった。
二条城のとりわけ大きな部屋、それこそ五百人は普通に入られる部屋においてだった。織田家の青が右、本願寺の灰が左にあった。上座に義昭がおりそのすぐ下に天海と崇伝を置いている普段の形である。
そこでだ、義昭が双方に言うのだった。
「この度来てもらったのは他でもない」
「はい」
「双方戦を止めよ」
こう告げた。
「そして和議を結ぶのじゃ」
「わかりました」
信長と顕如は義昭乃言葉に同時に応えた、だが。
二人は義昭の言葉よりもだった、今はお互いを見ていた、そしてそのうえでその場にいた。
それは織田家の家臣達も本願寺の僧侶達もだった、彼等もまたお互いを見てい
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