第七幕その十
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「普通よ」
「そうなのね」
「けれど食べられないって訳じゃないでしょ」
「ええ、普通に食べられるわ」
その通りだとです、恵梨香はナターシャに答えました。
「私もね」
「そうよね、美味しいわ」
「こうした甘さもあるのね」
「甘さもそれぞれってことね」
飴にしてもというのです。
「ロシアの飴はまた違う味よ」
「そうそう、ロシアだとね」
トトがです、皆の足元からナターシャにこんなことを言ってきました。トトはドロシーから貰った飴を美味しそうに舐めています。
「ケーキも違うよね」
「あっ、知ってたの」
「オズの国にもロシアのケーキがあるから」
だからだというのです。
「知ってるよ」
「そうなのね」
「アメリカだから」
だからだというのです。
「ロシア系の人もいるからね」
「それでなのね」
「そう、ロシアのケーキもあるよ」
「あの固いケーキも」
「僕は最初あのケーキを見て驚いたよ」
本当にというのです。
「こんなケーキもあるんだって」
「そうなのね」
「そう、あるよ」
「じゃあ今度食べられたらいいわね」
ナターシャは期待するお顔で言いました。
「あのケーキも」
「そうだよね」
「まさかトトもロシアのケーキを知ってるなんて」
ナターシャはこのことに少し驚きました、ですが。
ここで、です。こう言ったのでした。
「けれどロシアのケーキ美味しかったかしら」
「うん、とてもね」
「それは何よりよ、美味しかったら」
「皆好きだよ、あのケーキも」
「そうよね、だからあのケーキも皆で食べましょう」
「美味しいものは皆で食べないとね」
トトは自分の尻尾を左右にぱたぱたと振って言いました。
「そうしないと美味しくないからね」
「そうよね、じゃあね」
「あのケーキもね」
食べようとお話するのでした、ロシアのケーキも。
皆は飴を楽しんで食べました、そして。
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