第七幕その八
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「だからね」
「それじゃあどうして捕まえたら」
「大丈夫だよ、これがあるから」
モジャボロは懐からまた何かを出してきました。それは釣り糸でした。先にはちゃんと曲がった釣り針があります。モジャボロは針にすぐに何かを塗りました。
「これを中に入れればね」
「お魚はですか」
「食いついてくるから」
だからだというのです。
「安心していいよ」
「そうですか、じゃあ」
「お魚は僕に任せてね」
言いながら早速釣り糸を水飴の中に入れたモジャボロでした、けれど飴なので糸は中にまでは入りません。ですが。
そこにです、お魚が自分から来てでした。
釣り針を噛んでです、簡単に捕まってしまいました。モジャボロはその綺麗な飴のお魚を手に取ったのでした。
そのうえで、です。こう言いました。
「これでいいよ」
「あれっ、随分とあっさりでしたね」
「あっさり捕まりましたね」
「そんな簡単な釣りって」
「はじめて見ました」
恵梨香達五人はそのお魚を見ながらモジャボロに言いました。
「餌もなくて針だけで釣りが出来て」
「それで捕まるなんて」
「凄いですね、モジャボロさん天才ですね」
「釣りの天才なんですね」
「いやいや、実はね」
モジャボロはほくほくとしたお顔でこう五人に言います。
「針のところにあるものを塗っておいたんだ」
「あるもの?」
「あるものっていいますと」
「そう、蜜をね」
それをだというのです。
「塗っておいたんだ」
「ああ、蜜ですか」
「お魚はそれに惹かれてだったんですか」
「針にすぐに喰いついたんですね」
「そうなんですね」
「そうだよ、ここのお魚は蜜が大好きなんだ」
飴のお魚達はというのです。
「ついでに言うと心もないんだよ」
「あれっ、生きていないんですか」
「心がないっていうことは」
「この川自体がカドリングの人のおやつの為に作られたものなんだ」
川のこともです、モジャボロは五人にお話しました。
「グリンダがね」
「あの人がですか」
「作られたんですか」
「カドリングの人達の為に」
「そうしたものなんですか」
「そうなんだ、このお魚もね」
最初からです、オズの国にあったものではないというのです。
「動くだけで。言うならおもちゃかロボットか」
「そういうものですか」
「生きものじゃなくて」
「言うなら動く食べものかな」
それがこのお魚だというのです。
「そうなんだ」
「ああ、そうなんですか」
「だからこのお魚はですか」
「生きてはいないんですね」
「そうだよ、オズの国で殺生は駄目だけれど」
このことはオズマが厳しく定めています。もっともオズマがオズの国家元首になる前から定められていることですが。
「このお魚は生きてはいないか
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