第11話 距離の縮め方 後編
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い雰囲気を押し込めて宴会がある集落へと走った。
宴会は俺達が揃ってから始まり、鍋に酒に皆大はしゃぎだった。
最初はお互いピリピリしてたのに、宴会ではそんな事はなくて皆が笑顔だった。
レックスは沢山皆と話をした。
集落の人達は少し緊張していたけれど、すぐに打ち解けた。
俺は喋れないけれど、皆にいっぱい撫でてもらった。
喋れないもどかしい気持ちはあるけれど、温かかった。
とても、眩しかった。
なんでだろう?
笑顔の皆を見ているととても嬉しい。
そりゃ皆が仲良く出来たら普通は嬉しいと思うけれど、なんだろう?
ずっと、ずーっと昔からこの光景を望んでいたような。
そんな気持ち。
おかしいよな?
俺の元いた所ではありえない光景のはずなのに。
「どうしたんだ?ユエ」
「ギャウ」
俺の様子に不思議に思ったレックスが声をかけてきたがなんでもないと尻尾を振って答える。
きっと気のせいだ。
もしかしたら誰かが飲み物に酒でも入れたんだろう。それできっと変な気持ちになってるんだ。
「ギャウウ!」
「わわっ!?ほんとにどうしたんだよ。まさかお酒飲んだのか!?」
胡坐をかいて座っているレックスの前に来てすっぽりと埋まるように座り、レックスの腹に頬を擦り付ける。
なんか、今はこうしていたいんだ。
だからちょっと辛抱してくれ、レックス。
「まったく……急に甘え出して。やっぱりお酒飲んだのかな?ユエはまだ子供なのに……」
「ギャウー」
子供じゃねー。
「そんな風に言ってるうちはまだ子供だよ」
そう言って笑いながら俺の頭を撫でるレックス。
もっと撫でろ!と頭を手に押し付ける俺。
そしてそんな俺達の様子を微笑ましく見守る皆。
そんな中、俺は願う。
この幸せが続くように。
今の幸せをかみ締めながら――
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