第5章 契約
第91話 夜の翼
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の系統魔法の呪文の中に存在する、精霊に対する支配力だけが頼りと成るのですが……。
俺やタバサが居るこの空間では、ヤツが精霊を強制的に支配出来るとは思えませんから。
まるで体重のない者のように……。いや、この滞空して居る間だけは本当に重力を操り、ほんの一瞬、アルマンの首の辺りに滞空。
そして!
次の瞬間、無様に俺の左側に膝から落ちるアルマン。おそらく、ヤツは何故、自分が倒れ込んだのか、その理由すら判ってはいないはず。
僅かに滞空した瞬間、正面から放たれた右脚に因る回し蹴りがアルマンの後頭部を強打。但し、俺の本気の蹴りが完全にヒットしたのなら、真っ当な生命体ならば首から上が爆発する事となる。これほど実力に差が有る相手ならば、生きたまま捕らえてタバサの父親の死の真相や、その他の情報を聞き出す事が可能でしょう。そう考えて、十分に威力の押さえられた延髄斬りの一閃に因りアルマンの無力化を図ったと言う事。
「ば、馬鹿な。俺は神に選ばれた人間のはず。だから、吸血鬼に血を吸われた訳でもないのに吸血鬼の能力を得、更に一人に一体しか召喚出来ないはずの使い魔を、何体も召喚出来るようになったと言うのに」
両手と両膝を大地に着けた状態で、そう叫ぶアルマン。おそらく、立ち上がりたくても、立ち上がれない状態だとは思いますが。
……って言うか、その程度の事で神に選ばれたと勘違いしていたのか、コイツは。
「使い魔……式神を複数体召喚して、それぞれと契約を交わして居るのなら、それは俺やシャルロット姫も同じ。能力に関しても、さっきの戦いの結果から類推すると、神に選ばれたと言っているオマエよりも俺たちの方が上なのは確実」
まして、タバサも吸血鬼に血を吸われた訳でもないのに吸血姫へと血の覚醒を果たしましたし、俺も別に龍の血を浴びた訳でもなければ、龍を喰った訳でもないのに龍の能力を得て居ます。
少なくとも、俺の知って居る世界の理はそう言う物。ヤツがどう言う経緯で生成りへと変生したのかは判りませんが、その程度の事ならば、誰にだって訪れる可能性の有る当たり前の出来事に過ぎません。
それに、現実問題として、ヤツを選んだ神とやらが何モノかは知らないけど、本当にこのアルマン・ドートヴィエイユと言う人物を英雄の位にまで引き上げようと考えたのならば、生成りなどと言う中途半端な状態で止め置く事はないでしょう。普通に考えるのならば。少なくとも完全な吸血鬼として覚醒を果たして、俺と互角に戦えるぐらいには成って居ると思いますよ。
――本当に神に選ばれた英雄ならばね。
俺は神殺しの属性を持つ龍。更に、東洋の神話では神を封じる事の出来る仙人の属性も持つ存在。そして、仮にも神だと言うのなら、俺やタバサのような敵対者が現われる事も想定して居るはず。
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