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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第91話 夜の翼
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思う。しかし、それでもやって良い事と、やったらアカン事は有る」

 それに少なくとも、同族を喰うような行為を許す訳には行かない。
 そう。例え今、目の前に居るアルマンが自らの事を人間以上の存在――故に、人を喰ったとしても問題はない、と嘯いて居たとしていても、俺はそれを受け入れる訳には行きませんから。

 それを簡単に受け入れて仕舞うと、俺やタバサも人間ではない存在。異種と呼ばれる、人類とは違う種族だと言う事を受け入れて仕舞う事と成って仕舞いますから。

 しかし……。
 怒りとは違う、何か奇異な物を見つめる瞳で、俺の方を見つめるアルマン。
 そうして、

「人間以上の存在と成った俺を縛る正道など存在しないぞ、小僧」

 何とも表現のし難い……。にたぁと言う表現が一番しっくり来る表情を浮かべながら、そう言うアルマン。その口元に存在する、普通の人間では有り得ない程に尖った犬歯が、上空から照らし続ける炎を反射して鈍く光った。
 その時に確信する。人か、そうで無いかを決めるのは、見た目やその他――。例えば人語を話すかどうかなどが問題ではなく、その精神の在り様だと言う事を。

 しかし、この不利な状況下。陰の気の生命である吸血鬼に取っては、陽の気に溢れた世界も、そして、煩悩を払うと言われている除夜の鐘の響く世界も苦手なはず。まして、ヤツは周囲の気を取り込み、自らの気へと変換させるような方法は持っていないはずなのですが……。

 俺が瞳に霊力を籠めて、もう一度、眼前の元東薔薇騎士団所属の騎士の姿を見つめようとする。
 しかし……。

「小僧、死合え」

 腰に差して居たレイピアを、つい先ほど跳ね飛ばしたはずの右手に抜き放ち、そう言うアルマン。
 吸血鬼故の回復力。……としか考えられない状況。例え、水の秘薬を隠し持って居たにしても、そんな物を使用したような素振りを見せる事はなかったし、更に、俺の知らない系統魔法を使用して新しい手を形成したにしても、周囲の精霊力が系統魔法によって消費された兆候は感じなかった。

 見鬼の結果は生成り。半分、吸血鬼に成り掛けの人間。これ以外の結果は出ない。……だとすると、このアルマン自身の才が治癒能力に秀でた吸血鬼と言う事に成るのか、
 あるいは……。

 相変わらず思考は別の方向に向かいながらも、それでも一歩前に進み出る俺。多少の不確定要素が有るからと言って、ぐずぐずしているとタバサの方がこの一騎打ちを受けて仕舞いかねませんから。
 何故ならば、この目の前の男が、オルレアン大公の暗殺の実行犯の可能性も有るのです。流石に、自らの父親の仇討ちを考えていない、と言うタバサでも、目の前に実行犯かも知れない人間が現れたら、心穏やかで居られる訳は有りません。

 流石に、敵討ちなど意味がな
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