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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第91話 夜の翼
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の前では、人間レベルの相手をする為に召喚されたジャガーの戦士などが相手に成るはずはない。

 一瞬の内に炎の塊へと変えられたジャガーの戦士たちが悲鳴ひとつ上げる事もなく、彼らに相応しい臭気を放ちながら、やがて黒き消し炭へとその姿を変えられた。

 そして接近しつつ有った三体の内、最後に残った正面に迫るジャガーの戦士の瞳……。暗闇に光る猫族の瞳と、俺の蒼と紅。ふたつの視線が今、交わった。
 その無機質な瞳に――

 いや、猫の瞳は自らの感情を映す鏡。今この瞬間に俺が何を感じたとしても、それは単なる気の迷い。
 そんな思考に囚われながらも、身体は素直に戦闘状態を維持。
 特殊な体術を使用する事もなく、ただ掴みかかって来るのみのジャガーの戦士。その突き出して来た右腕を軽く紙一重で躱し空を切らせる俺。
 そして、空しく空を掴んだ状態で一瞬の空白を作った右腕を取り、そのまま巻き込むようにして腰で跳ね上げる。そう、これは一本背負いの形。神速で巻き込まれたジャガーの戦士が受け身の形を取る前。そもそも、自らが投げられたと意識する前に大地に叩き付けられるジャガーの戦士。
 次の瞬間。腕にあまり感じたくはない感触が伝わり、首をかなりマズイ形で折り曲げた人型の黒いフード姿が大地に転がった。

 これで残りは二体。
 心を殺し、そう考えた瞬間。

 目も眩むような閃光。そして同時に発生する轟音。
 刹那に走る空間に刻まれた蒼白き亀裂。それらはソロモンの魔将に因り強化された俺の瞳でも一瞬の煌めきとしか認識出来ない光の速度。
 タバサの放った九天応元雷声普化天尊(きゅうてんおうげんらいせいふかてんそん)の雷と、古き月の女神レヴァナが放つ雷が光の速さで奔り、残った二体のジャガーの戦士を無力化したのだった。


☆★☆★☆


 そうして……。

「すべてのジャガーの戦士は無力化された。後残るのはアンタだけやで、アルマンさんよ」

 氷空(そら)に描き出された炎の五芒星が発する明かりと、生命の息吹に溢れた世界。そして、霊力の籠められた鐘の音が響く中、最後の通告を行う俺。
 当然、アルマンに因る武装の解除と俺たちへの恭順の態度が示されれば、この場でのこれ以上の戦闘が為される事はなくなる。

 実際、ここまでの能力差を見せつけられれば、これ以上の抵抗が無意味だと悟ると思うのですが……。

「ア、アルマンの旦那――」

 アルマン・ドートヴィエイユに残された最後の部下、ルルド村のラバンがかなり不安げな表情で、自らの背後を振り返った。
 しかし……。
 しかし、その視線の先に存在する貴族然とした壮年の男は……。

「確かに、簒奪者どもの家系にしてはやるようだが、所詮はそのレベル。まして、使い魔など使い捨て。召喚者の俺
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