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Eve
第一部
第一章
プロローグ
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いワンピースは、どことなく手作り感を漂わせる。JSKに包まれた細くしなやかなその体躯は、お日様の光を浴びて白く透き通るように輝いていた。
そんな少女のような人。でも、あくまで少女のような人。本当に少女なわけではないけど、見た目はどうしても少女にしか見えないから。実際にはもう二十歳にはなるという、なんというか不思議な女性。そして、この世界での、俺の……。
「恭夜?」
「え……あ、なに?」
「なんか、ボーっとしてたから。」
少女は俺の顔を覗いて、どことなく心配そうな顔をしている。多分、純粋に心配してくれているんだろうと思うけど、そんな俺は彼女の容姿の妄想に精を出していたなんて、とても言えたことじゃない。
「……いや、ちょっと考え事してて。」
そう答えるほかなかった。でも少女はまだ俺の顔を覗いていて……。その顔はさっきまでの心配したような顔ではなく、怪しい人を見るようなジト目で……。
「……ふーん?」
「……」
俺は何も答えられずに、ひたすら俺の顔を覗いてくる少女から顔を逸らすだけで精いっぱいだった。
そんな他愛のない時間が過ぎていく。本当に何の他意もない、本来あるべき幸せな時間。永遠の時を感じさせてくれる、そんな万人に与えられるべき、素晴らしいひと時。
「ねぇ、本当のこと言いなよー」
「俺はいつだって本当のこt」
「そういうのいいから。」
「」
……幸せな時間なんだと思う。こんな会話でも、他愛のない会話ができるだけでも幸せなのに、こんな美しい世界で安らぎを得られることが。こうしてじゃれていたり、近くのちょっとした丘の上に生える一本の柳の下で一休みするのも。
「……」
「恭夜?」
だけれども、こんな世界を知ってしまった俺が現実の世界を直視しなければならないなんてこと、あまりにも過酷で今すぐにでも忘れ去りたい。忘れ去りたい、現実世界の記憶。消し去りたい、現実世界との因果律。でもすべては定められた運命の下に、結局は俺だって現実世界からの強い因果律から逃れる術なんてないんだ。
その瞬間、俺たちの間を一際強い風が吹き抜けていった。その風は俺の背後にそびえる一棟の廃ビルの方へと突き抜けていき、廃ビルに雄々しく茂る草木や蔦を、ざわめかしく揺り靡かせた。
「……そろそろだね。」
彼女が小さくつぶやいた。俺はゆっくりと背後を眺めていた身体を元に戻し、眼前の大平原を見据える。
「……戻りたくないな。」
ふと、本音が漏れる。無意識のうちに心の底から漏れ出た、小さな本音。
「わかってる。けど、もう起きる時間。」
そういうと、彼女は俺の頭の上にポンと手を乗せてくれた。小さな小さな手だけれども、確かなぬくもりと重みが俺の頭から体の芯にまで伝わっていく。それを俺は自分の左の手で優しく掴み、ゆっくりと彼女の三角座りをしている膝の上に戻した。今
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