SAO編−白百合の刃−
SAO16-約束の代償
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…………っ」
思考の歯車が徐々に動かし始め、自然と落ち着きた頃には涙と変わり、思い出してしまった。
「私…………に、げ……逃げた……み、皆を残して………逃げた……逃げたっ!!」
思い出したことは、逃げたことだった。
皆を置いて、一人だけ、あの部屋から遠く彼方へと無我夢中に逃げた。
皆に恐怖を引き出した本人が誰も守らず、自分だけが生き残りたいように見捨て逃げた。
つまりそれは……。
「っ!」
諦めが悪く、私は皆が生きていると言う希望を抱いてあの部屋へと走り出した。だが虚しくも、あの部屋には誰一人もいなかった。
それでも私は希望を抱いていた。いや無理矢理、希望を持たせていた。持たないと後悔の罪と言う、闇に落とされ負けるのが怖かったから、絶望を知ることに耐えられないのが怖かったから、自分が仲間を殺したという事実を決定づけたくはなかった。
真実をねじ曲げて、夢であって欲しいと、なかったことにしないと、押し潰れそうで怖かった。
でも、どんなに真実をねじ曲げても結果は変わらない。
都合のいい夢もまた夢また|現、夢は夢、現実は現実でしかない。
都合良く、夢にすることなんて絶対にできないんだ。
ケイタが待つ宿屋の前に立っていたのは、棒のように立ち尽くす兄の姿だった。
「あに……」
「キリカ、か……」
「…………うん」
「無事……だったんだな。良かった……」
兄は生きていた。だけど様子がおかしなことくらい、すぐにわかった。言わなくても目を見なくても言葉で全てをわからせてしまった。
「……キリカ」
「言わなくていい……わかってる、全部とは言わないけど……わかっているわ」
生き残ったのは、レベルを偽っていた双子の兄妹。
サチも含めた四人のメンバーはモンスターにやられてしまった。そして兄から告げられたものはケイタの投身自殺だった。
たった数時間の間に、守るべき月夜の黒猫団はなくなってしまった。
「兄、なんで、ケイタは……自殺したの……?」
「…………」
兄は何も言わなかった。それが何を意味するのかはわからないが、良い言葉では絶対ないことはわかった。
私はバカだ。ケイタが自殺した理由……正解じゃなくても、私達が原因なのは明確にされているようなものだ。
「……何だ、何だよ、それ………数時間の出来事で皆死ぬなんて……さっきまで笑っていたのに、落差激しいよ……」
「……そうだな」
「私…………こんなはずじゃなかった、私はケイタを喜ばせようとしただけなのに……」
「…………」
なんで、
なんで……なんで、
なんでっ!
「なんでこんな結末になっちゃうんだよ!!」
…………私が迷宮区に行こって、稼ぎ行こ
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