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SAO編−白百合の刃−
SAO16-約束の代償
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プっていうやつか? 心配しなくてもいいんじゃないのか? もしものことがあったら、転移結晶で脱出すればいいだろ」

 後から知れば、この層からトラップのレベルが上がっていること、だから警戒するべきことだった。兄はそれを言うべきであったが言えなかった。理由は兄が言うことで、本来のレベルがバレてしまうからだ。
 私が兄の主張を聞かなかったことは裏切りと同じ。味方になるって言いながらも私は気持ちを、兄を裏切ってしまった。

「キリカ、やめようよ」
「大丈夫だってサチ」
「でも……」
「何が来ても、守ってやるよ」
「うん……」

 ナニガマモッテヤルヨ……だよ。

 ジブンガダレカヲマモレルホド、ツヨイッテカンチガイシテイルンダ。
 
 結局、私を含めた四人の主張により宝箱を多数決で開けることになった。
 悪魔の宝箱と知らず、けして開けてはいけないパンドラの箱だと知らずに……。
 宝箱のトラップは最悪中の最悪なトラップ、アラームトラップだった。けたたましく鳴り響き、三つあった部屋の入り口から怒涛のようにモンスターが押し寄せてきた。
 そんな時になっても私はどこか冷静だった。緊急転移で逃げられると…………思っていたから。
 勝手に思っていたから、強がることができたんだと……どこまでも愚かな自分だと気づかずに。

「なんで……なんで作動しないんだよ! まさか壊れたのか!?」

 転移結晶が作動しないのだ。何度、何度も叫んでも作動しない。そして兄は終わりを告げるように、冷酷で残酷な言葉を叫んだ。

「まさか……結晶無効化空間!?」

 罠は二重に仕掛けられていて、兄の叫びはどん底を突き落とされた気分だった。

「うぁぁぁぁぁっ!!」
「やめてくれぇぇぇっ!!」

 響く悲鳴は仲間の声。

「いや、でも……あ……」

 次々と人体はポリゴンの欠片となって天井へ舞い上がる、仲間の死。
 それを見て、視界が定まらなくなっていき、急激に体温が冷えていく気持ち悪さが流れ込んだ。

「ち、……う……ちが…」

 目の前が真っ暗になった。

 ナニモキコエナイ。

 ナニモミエナイ。

 ナニモニオワナイ。

 ナニモカンジナイ。

 ナニモ、

 ナニモノコサレテイナイ。

 私が、

 ミンナヲコロシタ?



「あれ……こ、ここは……?」

 気がついたら、私は別の部屋にいた。先ほど湧き出るモンスターが嘘のように存在しなかった。

「さち…………あ、あに……? みんな、どこ、どこにいるの…………?」

 ……夢……だった…………?
 悪い……夢……だった…………の?
 …………。

 違う。
 
 現実だ。

「…………そうだ、私は
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