SAO編−白百合の刃−
SAO16-約束の代償
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なんで、兄も約束するんだよ、アホ……。
深いため息をつくと、サチはこちらを見つめてクスッと小さく笑った。
「ありがとう……」
どこか寂しそうに礼を告げたサチは、私の肩に頭を置いた。
「……あぁ」
私は拒むことなく、包み込むように手を添えて口にした。
「必ず……現実世界へ帰らせる…………何があってもな」
こうして私はサチに約束をした。本気で私はサチを守ろうと誓った。
この日から、気持ちも生活も周りも変わっていった。
なんと、サチが毎晩兄の部屋で寝ることになったのだ。必然的に兄は深夜稼ぎに出ることはなくなり、それに合わせ私も出ることはなくなった。それ自体は気にはしてなかった。
もしかして恋の発展かと思い、サチに問い出してからかおうとしたけど、サチは否定をした。一緒に寝るだけで、互いに触れることも、恋の言葉を告げることも、見つめ合うこともないと……。
そして兄は毎晩、サチの恐怖心に縛られないようにと重い約束を何回も告げていたこと。私はサチに負担にならないように、接する回数を増えて恐怖を和らぐように安心させた。それと同時に、責任を感じる兄も安心するように励ましをした。
もちろんギルドのみんなも、安心させるように自分なりのやり方で恐怖から遠ざけたようとした。
その甲斐があってか、確信はないながらも大きな希望を抱けるようになってきた。
いける。月夜の黒猫団はいつしか攻略組の中に入って活躍して、皆生きて現実世界へ帰れる。みんな笑顔で閉じ込められたゲームの世界の恐怖を打ち破り、笑顔で帰れると、思い込んでいた。
そう思わないと、私と兄はやっていけないと思っていた。兄が攻略組ではない、ギルドに入ったのは手に入れない物を手に入れるためにレベルを偽って入った。それは入った瞬間に持ち続けるものであり、嘘がバレたら消滅するようなもの。周囲に壁を作る兄が、みんなを平気で騙すような人ではない。逃れない罪悪感を抱いているくらいすぐにわかった。だから私は、そんな傷ついてしまった兄を守るために私も入った。
そこは居心地が良いものであり、兄が抱いていた罪悪感も共感できた。その罪悪感を消す方法を私達は見つけた。それが合っているのかはわからないけど、サチを、『月夜の黒猫団』のメンバーを守り続けることが罪悪感を逃れる一つの方法であった。
その時思ったのは、やっぱり騙すことが辛いからそれを別のことで許しを欲しがっているのに過ぎないんじゃないかと、それでも私には守りたいものが増えたから正しい、間違えはともかく、それが私が望む行動だと思っていた。
私と兄はサチ、ケイタ、テツオ、ササマル ダッカーの五人と一緒にこの世界からの脱出を、
私は願っていた。
だけど、私達にそんな王道や、奇跡な道のりなんて用意
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