志乃「兄貴、先行って」
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ババァだけどなぁ!
志乃は自分じゃ気付いていないんだろうけど、けっこう可愛い。兄の俺が言うんだから間違いない。けど、生意気なんだよな。俺の事殺そうとするし。マジでやばい。
でも、なんだかんだいって、何年も喋って無い俺の事を考えてくれてたんだよな。退学して何にもやる気がしなかった俺に道をくれたんだよな。
俺も、頑張らなくちゃな。あいつが目指してる、何かのために。
*****
俺は準備を終えて、志乃に言われた通り先に学校に向かう事にした。一人で行く事に不安を覚えなかったといえば嘘になるが、このぐらい堂々と行かないと。逆に怪しまれちまう。
俺と志乃がこれから三年間通う高校の名前は県立藤崎高校。家から徒歩十五分ぐらいのところにある、特に特徴の無い学校だ。
スポーツも学力も共に平均程度で、何かが突出している事が無い。そのため、この学校に来る奴らは大抵呑気な連中だ。
俺がこの学校を選んだ理由はそこにある。基本的にのんびり一人でいるタイプの俺としては、この学校は都合が良い。当然、クラス活動とやらがあるのだろうが、それは織り込み済みだ。
俺が中三の頃は「この学校は甘い」だとか言ってバカにしてたけど、まさかそんな俺がこの高校でやり直す事になるとは……皮肉すぎて笑えないな。
当然、今の二年、つまり俺の同年代の奴らに知り合いはいる。だが、中三の俺と同じような理由で、中学校の奴でこの学校を受けた奴はそこまで多くない。まぁ、幼馴染二人はこの高校だけどな。
でも、そういう奴らには前もって連絡してあるし、特に気にする事は無い。
だが、どうしても避けられない問題点もある。
それは、これから入る学年に後輩がいるという事だ。
この間も不安になっていたが、直前になってその不安は俺の中でさらに増していく。嫌な気分だ。
きっと面白がって俺を「先輩!ジュース買ってきましょうか?」とか言うんだろうな。ああうぜぇ。
俺が憂鬱な気分になりながら歩いていると、少し先に藤崎高校の校門が見えてきた。もうやだ、カラオケ行きたい。
やがて校門を潜り、学校内に入る。一度見学で入った以来で、懐かしく思えたが、周囲にいる二年や三年を見て気分が落ち込む。
あー、何してんだ、俺。
この一言は週に二、三回は考える。それは退学した時からずっとだ。そろそろ飽きてきたが、考え出すと止まらなくなる。
だが、その思考を打ち破る奴がいた。
「よっ、伊月!」
その声は前方から聞こえてきた。その声につられて頭を上げると、そこには幼馴染の一人がいた。林葉綾乃である。
スラリとしたスリムな体格に美少女で、社交的な性格は男子女子どちらからも人気が高く、彼氏の一人や二人いてお
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