暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
涙の主と嘘つきな従者
[10/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
に「まあね」と頷いた。
しばらく笑っていたライアーは、ふと自分の髪を見つめる。
アニストを演じるべく伸ばした黒髪。
でも、演じる必要はもうない。だから――――――

「・・・切ろうかな」
「え!?」

ポツリと呟いた言葉に、ティアが大きく反応した。
思わぬ反応にライアーもびくっと驚く。

「切るの?」
「あー・・・多分」

先ほどの大きな反応に戸惑いながらも頷くと、ティアが不機嫌そうに眉を顰める。
何か気に障る事を言ったのか、と内心焦りまくりのライアーに、ティアはずいっと顔を近づけた。
突然顔が近づいて、ライアーは思わず仰け反る。

「え、えーっと・・・どうした?」
「切るのね?本当に」
「た、多分だけどな。でも、俺としては髪短い方が好きだし・・・」

近い、と思いながらライアーは答える。
不機嫌そうな表情はそのままに、ティアは口を開いた。

「私、ライアーの髪は長い方が好きよ」
「!?」

たった一言。
それだけなのに、ライアーの顔が、自分でも解るくらいに真っ赤になった。
耳の横に心臓が移動してきたのかと疑いたくなるほど、鼓動がうるさい。

「でもまあ、切っちゃうなら仕方ないか・・・」
「き、切らないっ!」
「・・・は?」

少し残念そうなティアを見て、反射的に叫ぶ。
ティアはきょとんとした表情で、ライアーの顔をまじまじと見つめた。
それも何となく恥ずかしくて、目線を逸らす。

「切るのはやめる。何となく長いのも気に入ってたし・・・結わえる事にする」
「・・・そう」

ライアーの言葉に少し嬉しそうなトーンでティアが呟く。
そしてライアーの後ろに回り、くいっと髪を引っ張った。

「うわっ」

突然の事に、ライアーの頭も引っ張られる。
スーッと髪の間を指が通っていく感じがした。続いて髪が1つにまとまる感じ。
そして最後に、髪を括るようにキツく縛られる感覚。

「はい、出来た」

パッ、と手が離れた。
何が起こったのかイマイチ解っていないライアーに、ティアはショルダーバックから取り出した大きめの手鏡を渡す。
受け取ったライアーは鏡を覗き込んで―――――気づいた。

「あ」

長い黒髪が、首の少し上辺りの位置で1本に結わえられている。
少し頭を振れば、それに連動して黒髪が揺れた。
満足のいく出来(と言ってもゴムで結んだだけ)だったのかティアは頷くと、こてっと首を傾げる。

「どう?私的には上出来なんだけど」
「・・・る」
「ん?」

ライアーが何か言ったが、小さすぎて聞こえない。
首を傾げてティアが聞き返すと、ライアーが無言で立ち上がった。
俯いている為、顔が見えない。

「え・・・っと、ダメだった?」

困ったように
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ