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異世界でボッチ男の過ごし方〜勇者召喚の場合〜
ちょっとしたプロローグ
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[9] 最初
ちがジロリとこっちを向く。視線の意味は早く跪けってか。相変わらずここだと勇者の扱いは騎士以下かよ。

 ああ、鬱陶しいな。そんなことを思いつつ、舌打ちすると即座に跪く。

「おお!戻ってきたか勇者キキョウよ。で、どうだったか?」
「申し訳ございません、残念ながらお目当てのものはドロップしませんでした」
「ふむ、そうか……貴殿の風魔法でもドロップしないか……手間をかけたな。一応ギルドカードを見せてはくれまいか?念の為に討伐数も確認させてもらいたい」
(いや、風魔法使ったってドロップしないよ)
「ここに」

 と、男は言うとポーチからカードを取り出し、近くにいる騎士に預ける。

「おお!ゴブリン討伐数1531とな!レベルも61か。なかなかに順調だな。貴殿ら勇者にはそれぞれ別れて修行してもらっているが、そろそろもう少し難しいダンジョンにパーティを組んで攻略しに行ってもらってもよいかもしれないな」
(てめえポ○モンの育成でもしてるつもりか!?迷宮は育て屋じゃねえぞ!!)
「ッハ」
「それはそうと、その他のドロップ品はあるかな?」
「いえ、ゴブリンの肉はもってのほか、武器もほとんどがずさんに手入れされているものでしたので……」
「そうか、なにかレア物があればあれば買い取ろうかと思ったんだが……では今回の迷宮探索の報酬だ。金貨100枚でいかがかな?」
「意義はございません」

 二束三文でだろと突っ込みたくなるのを我慢しつつ、頭を下げる。

「うむ、よろしい。では次のダンジョン攻略の連絡まで待て」
「ッハ」

 そのまま男は下がるが、自室に戻るなり荷物を整理し始める。

「うっわ、舐めてるだろ。あの王様。こちとらC級ランクの迷宮をソロ攻略だろ。もうちょい報酬ははずむっつうのに金貨100枚とか……高級娼婦10回分じゃねえかよ。楽しみだなぁ。おい!」

 ちょっぴり下衆なことを考えつつ、自分の影の中のドロップ品を整理する。

「あ、ラッキー。王様のお目当ての宝玉3個ドロップしてるやん。いい感じの武器も結構手に入ったから『方天戟』の餌にするか」

 最初は文句を言っていたが、これからのことを考え、楽しそうにしている。

「こちとら召喚されてから3ヶ月でもう金貨1000枚は貯めたんだ。最初の手当の500枚からどんどん金貨を貯めてもうこの額だ。ちょっと浪費(娼館)したけどもそれでも白金貨10枚分!素晴らしい!」

 普通の平民が1年で生活するのに必要な金額が金貨5枚ほどであるからそれを考えるととんでもない額なのである。

 この男の名前は宮島(みやじま)桔梗(ききょう)。ガルナ王国に勇者として召喚された35人のうちの1人であり、風魔法と闇魔法と槍術に特化した、思春期真っ盛りである元男子高校生だ。
[9] 最初


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