第七十六話 節分ライブその二
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「だからなのよ」
「お願いしてですか」
「そうなのよ、これがね」
「だからお寺もあって」
「今回はそこでよ」
まさにだ、その寺でだというのだ。
「ライブよ」
「それするんですね」
「そう、お寺の住職さんもいいって言ってくれたから」
「問題ないんですね」
「いいでしょ、じゃあライブをね」
「はい、頑張らせてもらいます」
「全員参加だからね」
小柄な部長は背の高い美優を見上げて笑顔で言った。
「あんた達も頑張ってよ」
「わかってます、それじゃあ」
「ええ、そういうことでね」
「わかりました」
美優は部長の笑顔での言葉に彼女も笑顔で答えた、今二人は同じ笑顔だった。
そのうえでこの日の部活も励んだ、目標の日はというと。
「二月までね」
「あと少しですね」
「そう、二月三日よ」
そのライブの日は、というのだ。部長は部活が終わった時も美優と話をしてそれでこのことを言ったのである。
「節分だからね」
「そうですよね」
「それでよ、お豆もいいわね」
「そっちもですか」
「食べるのよ、絶対に」
部長は美優にこのことも念押しした。
「歳の数だけとか言わないで」
「十六粒以上ですか」
「そう、私は十七粒だけれど」
歳の数だけだからだ、一年と二年では違いがあった。
「もっと食べるのよ」
「もっとですね」
「そう、食べられるだけね」
こう話す、部活の中でこうしたやり取りもあった。
そうしたやり取りもして部活をしてだ、その帰りに。
美優はプラネッツの四人と一緒に帰りながらだ、いつものセンターの場所から両手に持っている鞄を肩に後ろ手で持って歩きつつこう言った。
「豆なあ、節分の」
「美優ちゃん部長さんと何かお話してたね」
「そうしてたわよね」
琴乃と景子がその美優に言う。
「歳の数だけとか」
「そんなこと」
「そうそう、節分の時に食べる豆をさ」
その話だとだ、美優も二人に答える。
「食べられるだけ食べろって」
「歳の数だけじゃなくて」
「もっとっていうのね」
「あれ幾らでも食っていいのかよ」
美優は話しながら首を傾げさせた。
「そうしても」
「いいでしょ。というかね」
景子がここで美優にこう言った。
「食べものを残す方がね」
「そっちの方がか」
「勿体ないから」
だからだというのだ。
「食べる方がいいでしょ」
「歳の数って言わずには」
「そう、あるだけね」
「そっちの方がいいか」
「そうそう、残すよりもね」
それよりもというのだ。
「食べる方がずっといいじゃない」
「だからか」
「部長さんの仰る通りね」
「節分のお豆は幾らでも食っていいんだな」
「というか美優ちゃんのお家じゃ違うの?」
「いや、兄貴が豆好きでさ」
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