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打球は快音響かせて
高校2年
第五十話
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俺に言われても知るか、バカ!一つ言える事ァ、学校に居るからこそお前は大好きな大好きな野球が出来てんだ!学校に居なきゃお前今頃土方でもしてんだろーが!ほんで学校には勉強がセットなんだよ、だから勉強しろ、分かったか!」

宮園にこれでもかと言い負かされて、鷹合はシュンとしながらテキストに向き合う。宮園の表情にはイライラがありありと浮かんでいたので、太田や美濃部は翼は、これ以上不平も不満も言いようが無かった。

「……宮園さんが説教こいたやん」
「相変わらず、偉そうやねぇ」

談話室の別のテーブルでは、寮住みの野球部1年生達がこれまた先輩と同じように集まってテスト勉強に励んでいた。先輩の様子を見て、枡田と京子が口を開いた。

「でも、ああいう集まりに光君が参加してんの、初めて見たかも」
「そら、あれやん。京子にサイテーって何度も言われたからちゃうん?」
「は?光君が彼女と別れた時の話?関係ある?そんなん」

京子は首を傾げたが、枡田は確信を持っていた。

「いや、あれから、宮園さん優しk……はなってないな。でも、スカした態度が減ったで。微妙に、他人と距離を縮めてきやるねん。俺ら後輩とも喋ってくれるようになったし。いちいちムカつく事ばっかり言うけど。」

枡田が他の1年生に同意を求めると、皆うんうんと頷いた。最後の一文にだけ頷いている可能性もあるが。

「やっぱ、多少気にしとんちゃうんかなー。あの人なりに、人から最低だの何だの言われるんは痛いんやろなー。ま、その割にはムカつく事しか言わんけど。」
「…………」

ずっと昔から宮園を見てきた京子も、自分の言葉が宮園に響いた事は記憶にない。枡田の話が本当なら、初めて宮園が自分の話を聞いた事になる。
……サイテーという言葉だったというのが、かなり微妙だが。

「だから、どうしてこの答えになるんだよ!バカかよ、考えろよ!この答えに辿り着いたプロセスを教えて欲しいわ、このボケ!」

翼の作ったトンチンカン解答にバチ切れる宮園の声が談話室に響く。
京子はその背中を見て、ため息をついた。



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