高校2年
第五十話
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林さんだって、イケるかもって思うたら、もしかしたらイケるかもしれませんって。大学でもやれますって。大学では勝てますって。何も根拠はないですけど……」
「…………」
黙ってしまった林に、渡辺はニカッと笑みを見せた。
「ガチで、練習来て下さいって。安曇野のファーストが下手くそですけん、教えたって下さいよ。それじゃ、失礼します」
渡辺は林に背を向けて、寮の外に向かって走り出した。まだこれから、自主練習に精を出すようである。ロビーに残された林は、その背中を見てため息をついた。
「決勝エラーの俺に、守備を教えろってか」
そう呟いて、林は体をうん、と伸ばした。
少し硬くなったような気がする。
ボチボチ、体を慣らしてからじゃないと怪我しちまうな。そう思った林は、自室へ着替えを取りに行った。
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「ヤバくね?」
「ヤバいわ」
「ヤバいやろー」
寮の談話室で、野球部が坊主頭を突き合わせて、ノートとテキストを広げて呻吟していた。
この時期には学年末テストがある。
美濃部も鷹合も太田も翼も、だいたい野球部はみんな成績が悪い。学校生活から離れ、野球の事ばかり年がら年中考えていると、バカになっていくのは道理であった。
「お前らなぁ、ヤバいヤバいって言う暇あったら、分からないなりに何が分からないのかをしっかり考えろよ。じゃないと、教える側も何を教えたら良いか分からないんだよ。」
寮生の中で唯一の文武両道、宮園が呆れ顔でこう言うと、隣の渡辺がうんうん、と頷いた。
宮園はその気になれば進学コースにも入れたほど成績が良い。夏までの旧チームまでは自主練もせずにテスト勉強をしていたほど、元々勉強に対する意識も高いのだ。
ちなみに、宮園と同じ立場に居る風な渡辺の成績は、そこまで良いわけではない。
ただ、他の四人のレベルがレベルなので、相対的に指導的立場になってしまっているのだ。
「つーか、数学とか何の役に立つねんて。何がsinπcosπオッπやねん、アホちゃう?」
「何か最後変なの混じったな」
鷹合は既に厭戦モードであった。
DQN特有の、「こんなもの社会で役に立たない」という理屈で、早くも努力を放棄しつつある。宮園はそんな鷹合にため息をついた。
「社会で役に立つか立たないかは今問題じゃないだろーがよ。俺たちは今社会に出てないの、学校に居るの。そんで数学は学校を卒業する為に必要なんだよ。それ以上に何か理由が必要かよ?」
「はぁ?学校って社会に出る為に勉強する所ちゃうん?」
「社会に出る為なら、社会に出た事もない教師に教わる理由がねーだろ。子どもを早いうちから社会に出さねー為に学校があるんだよ」
「じゃあ、学校なんて意味ないやんけ!」
「そんなもん
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