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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epos26魔法少女たちの未来設計〜Dream and a Wish〜
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リゴリは俺の先を行っている。今後の管理局従事の中で衝突する可能性が高い」

「なのは達が巻き込まれる可能性は?」

「ある。が、そんな不足な事態には陥らせないつもりだ。彼女たちの知らぬ間、気付かぬ間に救済する。必ずだ」

泣き止んだことでシャルの頭から手を退けつつ、俺はグッと握り拳を作る。そんな俺を見たシャルが「手伝えることはない?」と訊いてきた。シャルの魔術師化は正直なところ魅力的な戦力だが、そうは言っていられない。

「シャル。イリスの人格はどうしている?」

俺の問いに「どうして・・・?」シャルは表情の一切を消してそう訊き返してきた。言わなければ。前世の人格である君の影響が、現世の人格であるイリスを押し潰して消滅させかねない、と。だから、俺のこの手で、魔術で、君の人格を・・・消す、と。

「解っているだろ。君は前世の記憶だ。イリスの人格、これからの未来にとって君の存在は――」

「邪魔だって言いたいんでしょ? 解ってるよ、それくらい。私が消えるべき存在だってことは。ルシルは私を消すつもりだったんでしょ?」

笑顔なんて言えない程の悲痛に満ちた笑みを浮かべるシャル。くそ、見ていられない、そんな顔。思わず顔を逸らしそうになったが「最後にお願いがあるの」シャルが伸ばしてきた両手に掴まれて拒まれた。

「お願い・・・?」

「そ。・・・キス、して」

「は? 待て、待て。その体はあくまでイリスのものだぞ。君がどうこうする権利なんてない!」

突き放そうとしたが、思った以上の握力に逃げることが出来ず、キリキリと締め付けられて痛みを覚える。

「いいじゃない、別に。それともはやての為に取っておくとか? エッチ?」

「どういう思考回路を持てばそうなる。生憎と俺に恋愛をする予定は永遠に無い。はやて然りその他然り。もちろん、イリスともくっつくことはない。解るだろ?」

「??・・・あれじゃん。対人契約をすれば、残れ――」

「ダメだ。俺はもう・・・限界なんだ」

シャルに話す。神意の玉座に座する俺の本体――ルシリオンの精神が限界を迎えたこと、行き過ぎた魔力行使によって削られるこの体や精神を保つために、創世結界に貯蔵されている術式や武装を消費して補完していること、その補完の代償が記憶の消失であること、今回の契約で“堕天使エグリゴリ”を全機救えなければ、本体の消滅は確実だと。

「つまり、これが最後のチャンスなんだよ。失敗すれば消滅。成功すればアースガルドに封印されている俺の肉体に戻れる。どちらにしろ、永遠にさようならなんだよ。だから誰とも恋愛するつもりは、ない」

「あなた、それほどまでに追いつめられて・・・!」

泣き顔に歪むシャル。俺のことを憶えているからこそそんなに悲しみ、苦しむんだ。
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