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トワノクウ
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深夜 酒迎え
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くなったのは彼≠フおかげでもある。

「しばらくはくうの前で妖退治の話は控えます。あの子には――妖を、憎んでほしくありません」
「それがいいかもしれん」

 沙門は朽葉の盃に二杯目の酒を注いだ。朽葉がそれを呑むことで、いい塩梅にこの件はまとまった。

「それと、くうのことで一つ気になることがあるのですが」
「何だ?」
「くうの作る飯の味です。あれは……似すぎている」
「――確かにな」

 沙門も気づきかけていた。1週間もくうの料理を食べ続ければ否応なく分かる。
 味付け、野菜の切り方、魚の焼き加減、煮物の煮時間、盛りつけ方。一つ一つにある男の影が見え隠れする。

「明日にでも確かめてみるか。ひょっとせんでも奴と関係あるかもしれん」

 姓といい、これで無関係である線のほうが薄い。

 しかし、と沙門は朽葉からの酌を受けながら憂慮する。
 もし沙門や朽葉の予想が正しいとしたら――


 ――これは、誰が仕組んだ流転だろう?



 Continue…
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