第百六十五話 両雄の会同その三
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「ですから才蔵殿にもありのまま述べさせてもらいました」
「左様か」
「そうです、とにかく今は」
「和議を結びか」
「休むべきかと」
石田も今はこうした考えだった。
「石山はまた攻め落とせます」
「いけるか」
「その時は必ず来ますので」
今攻め落とせずtごもだというのだ。
「落胆されることはないかと」
「では今は休みか」
「姫路に城を築くことも決まりましたし」
それでだというのだ。
「今は休みましょう」
「それではな。わしもじゃな」
「御主一向宗との戦でどれだけの首を取った」
生駒が可児の勲功について問う。
「一体」
「うむ、二百はある」
「よくもまあそれだけ取ったものじゃ」
「その首には全て口に笹を差しておいた」
これが可児の流儀だ、彼は討ち取った者の口に笹を差しておくのだ。それで飾ると共に自身が討ち取ったことも示しているのだ。
だからだ、可児自身も言うのだ。
「これでわかるわ」
「そうじゃな。まあ次の機会にな」
「また武勲を挙げよというのじゃな」
「そうじゃ」
まさにその通りだというのだ。
「そうしようぞ」
「ふむ。ではな」
「ゆっくりと風呂に入り身体を休めましょうぞ」
大谷が微笑んでここで言ってきた。
「長い戦で身体のあちこちが疲れきっておりますし」
「そういえばわしも随分肩がのう」
可児は右手で己の左肩をさすってみた、実は先程から肩に随分と疲れを感じていたのだ、湯に入るまでは気付かなかったが。
「それに腰もな」
「随分と馬に乗っておりましたからな」
石田も同じ湯船の中から言う。
「それも当然かと」
「そうじゃな。ではな」
「はい、肩も腰も」
「ゆっくりと休めてか」
「身も心も清め」
そうしてだというのだ。
「和議の場に赴きましょう」
「その際服に香を焚くとのことじゃ」
ここで村井が言って来た。
「そうして服もよき匂いにしておく」
「おお、香をか」
「殿のお考えじゃ」
「それで本願寺の者達を香りでもか」
「和議を結ぼうとも敵じゃ」
それに変わりはない、それではだというのだ。
「見栄えよくしてそこからも圧倒してこそだとな」
「殿はお考えか」
「うむ、わしもそこまでは考えておらんかった」
村井にしてもだというのだ、格式やそうしたことには詳しい彼もだ。
「しかし出陣前には具足に香を焚く者もおる」
「それと同じか」
「そうじゃ」
そうなるというのだ。
「殿ならではの伊達じゃな」
「これも傾きか」
「うむ、それじゃ」
信長もまた傾奇者だ、それでだというのだ。
だからだ、それで今もなのだ。
「傾きは身なりだけでなくな」
「香りもか」
「そうなるからじゃ」
「ふむ。流石は殿じゃのう」
「殿は
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