第十一話 ハーレーの女その一
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美しき異形達
第十一話 ハーレーの女
菖蒲と菊はこの日共に戦っていた、その相手はというと。
二人いた、一人は蛾、そしてもう一人はヒトデだった。菖蒲はヒトデ、菊は蛾と対峙している。場所は学園の大学のテニスコートだった。
戦いになっている時の常で今は周りには誰もいない、それで菖蒲は自分の隣にいる菊にこう言えたのだった。
「いいわね」
「うん、誰にも見られる心配はないからね」
「思う存分力を使えるわ」
「いいことね、正直ね」
菊は忍者刀を抜いて右手に逆手に持っている、菖蒲も右手に剣を持っている。
そのうえでだ、怪人達を見ながら言うのだった。
「相手が相手だから」
「力を使わないとね」
それこそ、というのだ。
「適う相手ではないわ」
「そういうことね、手を抜いたらね」
「負けるわ」
菖蒲は右手の剣に既に自分の力を宿らせている、青い水が剣から滴り落ちテニスコートを濡らしている。
「戦いは全力を尽くすものよ」
「その通りね、実際に」
「忍者でもそうよね」
「勿論よ、確かに忍者は基本は戦わないわ」
隠れ逃れるのが忍術だ、その身のこなしや忍者道具は全て本来は戦うことを目的にしたものではないのだ。
「けれど、いざって時はね」
「全力で」
「戦うものよ」
それもまた忍者だというのだ。
「だからね」
「今もね」
「ええ、死ぬ気で戦うわ」
「では行くわよ」
「それぞれの相手にね」
こうしたことを話してだった、二人はそれぞれの相手に向かった。そうしてだった。
菖蒲はフェシングの動きでヒトデの怪人に激しく突きを入れた、それは桜のレイピアの動きとはまた違っていた。サーベルのそれだった。
その攻撃を受けてもだった、怪人はというと。
確かに攻撃は刺さる、だがだった。
全く通じてはいない感じだった、それも全く。
確かに刺さる、しかし剣が抜かれるとすぐに回復する。菖蒲はそれを見て言った。
「ヒトデね」
「わかるか」
「ヒトデは切っても死なないわ」
このことは菖蒲も知っていた。
「例え切断してもね」
「俺も同じだ、突かれようともだ」
「すぐに回復するわね」
「しかもだ」
ただ回復するだけではなく、というのだ。
「切り落とされてもだ」
「わかるわ、そこからまたね」
「回復するのだ、手足を切り取られてもな」
「ヒトデの回復力は尋常ではないわね」
「その俺にどうして勝つつもりか」
ヒトデは拳や脚で攻撃を仕掛けてくる、攻撃自体は普通だ。
しかしだ、己の回復力に絶対の自信を持っているのか。
攻撃を続ける、そしてだった。
菖蒲を次第に追い詰めている感じになってきていた、菊はその二人の闘いを見つつ菖蒲に言っ
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