SAO編
第二章 曇天の霹靂
4.鏡裏の黒幕
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テ……クッフッフ、よく無事だったナ」
意地の悪い笑みを浮かべるアルゴさんに、キリュウさんは視線をあたしの隣に向けて口を開く。
「……あれはレイアの機転のお陰だ。あれが無ければ、俺は何も出来なかった。――遅くなってしまったが……有難う。お陰で助かった、レイア」
「あ……い、いいえっ、そそそんな。本当にあれに気付いたのは偶然で、改めて感謝されるほどでは……っ」
「……いや。本当に助かった」
「いえ、こ、こちらこそ、その、ありがとうございますっ」
「……何故そちらが礼を言う?」
「あははっ」
真面目な顔で頭を下げるキリュウさんに、普段あたしには見せないような赤い顔であたふたとするレイア。
その光景に、思わずあたしは笑ってしまった。
――あたしは、美緒の今の気持ちが少し解る。
嬉しいんだ。凄く。
いつもあたしたちはキリュウさんに頼ってばかりだ。
だから、少しでもこの人の役に立ちたいと思って頑張っている。
そしてキリュウさんからその行動で感謝されたら、自分の頑張りが認められたかのような気がして――この人の傍に自分は居ていいんだと確認出来たような気がして、つい、ありがとうございますと言ってしまったんだろう。
――あたしも、言われたいな。
キリュウさんに褒められたい。
傍に居ていいって、言われたい。
すっと。このままずっと。
例えSAOがクリアされて現実世界に戻っても。
ずぅーっと……。
――頑張ろう。
もっと強くなれば、きっともっとキリュウさんの役に立てるはず。
そうすれば、少なくともこのSAOでは一緒に居られる。
この四人で、《仲間》で居られる。
あたしは志を新たにした。
「――おまたせー。ふふ。さ、報酬の新装備が出来たわよ。さっそく試着してちょうだい」
「……」
テカテカした様子のアシュレイさんと、ゲッソリとした様子のバートさんが作業室から出てきた。
そして行われる新作の試着という名のアシュレイさんの狂喜乱舞。
巻かれてはひん剥かれ巻かれてはひん剥かれを幾度となく繰り返されるあたしたち三人……プラス逃げ遅れて捕まったアルゴさん。
アルゴさんの叫び声を初めて聞いちゃったよ。
ちなみに男性陣は例の如く、部屋の隅で視線をずらしてジッと空気と化していたという。
笑い声――たまに叫び声もあるけど――が絶えない毎日。
つらいこともいっぱいあるけど、それよりも多くの楽しいこと。
何より、今まで知りあった人たち、レイアやチマ、そしてキリュウさんが居れば、デスゲームとなったSAOも怖くないんだ――――
――と、そう思っていた日々は
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