SAO編
第二章 曇天の霹靂
4.鏡裏の黒幕
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どうやら何処かからあたしたちが十八層の不死者の館に行ったことを聞き付け、その情報を聞きに来たらしい。
『アソコに行くプレイヤーは殆ど居なかったからネ、情報が少ないンダ。何か良いネタでもあればそれで釣って儲けることが出来ると考えたんだガ……なに、無料でとは言わないサ。情報に見合った代価は払ウ』
と良い笑顔で開けっぴろげに言われれば、特に金銭に頓着しないあたしたちがあの館の事を話さない理由はなかった。
そして、依頼の品を受け取ったアシュレイさんが嬉々として作業室に閉じ籠ってあたしたちへの報酬を作っている間、アルゴさんにあたしたちが体験した出来事を語った。
「MOBやボスの強サ……安全マージンと適度な連携が取れていれば問題無シ。件の姿見も近くの窓から天候を確認すれば特に問題無シ。祝福バフの効果時間と聖水のストックに注意が必要だが……フム」
椅子に座ったアルゴさんは《筆記》スキルを起動し、丸テーブルの上でカタカタとキービードを打ちながら、あたしたちから訊いた情報を纏めていく。
足を組みながら真剣にブラインドタッチで作業する様はさながら有能OLのようだけど、木製の椅子と丸テーブル、そして何より子供のように小さいアルゴさんの容姿が何処か微笑ましさを醸し出していた。
「ン〜……ヨシ。こんなところカナ? キャンペーン・クエストなら最終的な報酬が何かでこの情報の価値がガラリと変わってくるからナ。十八層よりも上層で現在の最前線である二十三層までにはアンデット系のダンジョンは確認されてナイ。もっと上層に行かなくちゃその《旅人》とやらには出会えそうもないナ〜」
つまり、まだ売り物には出来ない情報だと。
「まあだけド、更なる情報が集まりそうな情報であることは確かダ。特にその《日記》についてはオイラも一度見てみたいしネ。……というわけデ、この情報のお礼に――」
『お礼に?』
別にお金目的な訳じゃないけど、お礼と言われるとその中身が気になるのはひととしてのサガだと思う。
あたしと同じ気持ちだったらしいチマと同時に身を乗り出してハモった。
そしてアルゴさんはニコッと笑顔で。
「――お礼に、《アンデット系ダンジョン》を発見したらイの一番に君たちへ情報を渡そウ。頑張って攻略してくれたまえヨ、若人タチ」
「え゛……」
「ぅええええええ!? そりゃないッスよおおおおおおおお!?」
あの洋館で散々な目に遭ったあたしたちには、もはやアンデット系ダンジョンという言葉すら軽くトラウマだ。
ムンクの叫びのポーズを取るチマを尻目に、アルゴさんはずっと沈黙したままのキリュウさんに話しかける。
「大変だったようじゃナイカ。祝福バフも聖水もなく、アストラル系のボス部屋に閉じ込められるなん
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