SAO編
第二章 曇天の霹靂
4.鏡裏の黒幕
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関係の無いダンジョンで、しかもアンデット系モンスターの巣窟へ《夜》に訪れるプレイヤーなど皆無だったことでしょう。
そのような圧倒的に情報源が不足している中で、姿見と月光が関係しているなど、初見で気付けるほうがおかしいです。
私の場合もほとんど運と勘でした。
「あ〜疲れたッス。さっさと帰ってお風呂入りたいッスよぉ」
「だねー」
説明が終わり、四人で仕掛け階段を降りていました。
私含め、全員が相当に疲れています。
時刻は既に二十一時に差し掛かろうとしていました。これから主街区に一時間以上かけて戻ることを考えたら、力が抜けてそのまま倒れそうなほどです。
「私も、今日はゆっくり寝たい…………え?」
私たちが階段を下り切り、一階エントランスへと降り立った瞬間。
『――冒険者たちよ――』
頭に響くような男性の声が聞こえたと思うと、目の前の空中に青白く透けた壮年の男性が現れました。
その姿は中世ヨーロッパの貴族然としていて、どこか見覚えのある服装でした。
「なななななんスかっ!?」
「モンスター?」
「……いや、カーソルもHPバーも何も無い」
「イベント、でしょうか?」
突然の出来事に驚く私たち。
そんな私たちを置き去りにして、宙に浮く幽霊のような男性は話を続けます。
『――感謝する。そなたらのお陰で、我が屋敷に巣食う魔は消え去った――』
「《我が屋敷》? ということは、この男性はあの日記を書いた領主の人?」
「……レイアたちが見付けたという安全地帯の部屋にあった日記か」
「そうみたいッスね」
どうやらボスを倒したことで何らかのイベントが発生したようです。
モンスターも出てこないようでしたので、私たちは張っていた気を弛めて領主の男性の話に耳を傾けました。
『――《あれ》は旅人を装い、突然この屋敷を訪れた。
最初はもちろん歓迎した。《大地切断》後、初めての来客だったからだ。
屋敷に泊めるようになってしばらく、私も、屋敷の使用人たちも楽しく過ごす日々が続いた。――否、余りにも《楽し過ぎ》たのだ。
日記を書く事を日課にしていた私はそれに気付いた。
いつからか、所々自分の記憶に穴が開いていることに。
《何をして楽しかったのかが思い出せない》のに、《楽しかった》と自分が思い込んでいることに。
――だが、気付いたのが圧倒的に遅すぎた。
その時には既に私の体もおかしくなっていたのだ。
まともに思考することも出来ないほどの意識の混濁に、血液が沸騰してしまうかと思うほどの高熱。
更にはどれだけ水を飲もうが渇きを覚える喉。
使用人たちを見かける度に沸
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