SAO編
第二章 曇天の霹靂
4.鏡裏の黒幕
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◆
チマがあの姿見に――キリュウさんとルネリーのもとへと聖水を投げて数秒後。
『クゥッ!? ……ォオ、オォォァ!!』
突然、ノーブルヴァンパイアが苦しみだしました。
頭を抱えて身をよじり、苦痛の声を撒き散らしています。
ジュゥゥゥ……
ノーブルヴァンパイアの体から、何か紫色の煙が立ち上ってきました。
いえ、抜け出てきているのでしょうか?
二メートルは優に超していたその体躯が、紫煙が出ていくのと比例して徐々に縮みだしています。
――これは、もしかして……?
「チマ!」
「レイア、これ!」
「うん、たぶん……好機だよ!」
HPが減ることによって状態が変化するボスは何度か目にしましたが、目の前の敵のHPバーは、先ほどまで超回復によって完全状態です。
突然苦しみだす理由が、変化が現れた理由が、私やチマの攻撃ではないことは明確でしょう。何らかの外的要因が考えられます。
確定はまだ出来ませんが、私の予想では鏡の向こうのキリュウさんたちが何かしたのではと思います。
でも、だとしたら相手の弱っているこの機会を逃す手はありません。
「ヤァ――ッ!!」
「でりゃああ!!」
明らかに動きの鈍くなったノーブルヴァンパイアに鞭による妨害を、大剣による大打撃を与えます。
――ボスのHPバーは、回復…………していない!
勝機の見えた私たちは残り僅かな気力を振り絞って武器を振るいました。
そして数分後。
聖水の小瓶が抜けたことで気付いたのか、あの姿見を通ってキリュウさんとルネリーが合流してきました。四人になった私たちの怒涛の如き攻撃に、高貴なる吸血鬼はついにそのHPバーは消え去り、倒れました。
無限に続くかと思われた激闘が、ようやく終わったのです。
「……成程。あの姿見にはそんなカラクリがあったのか」
「すっごく空回りしてたんですね、あたしたち……」
「いきなり聖水の瓶を鏡に向かって投げろーって言われた時は『えええええ!?』って頭が混乱したッスよ」
「あはは……あの時は説明する時間がなくて。ごめんね」
シャグリン・ザ・ノーブルヴァンパイアを倒した直後、洋館の中は目に見えて明るくなりました。まるで館を包んでいた瘴気が晴れたように。
その証拠に、屋根裏部屋を出て仕掛け階段の上から階下を見た時、吹き抜けエントランス広場を巡回していた複数の敵パーティーが居なくなっていました。
私は、自分が気付いた姿見のことを三人に説明しました。
気付けばなんてことのない事だった。だけど天候変化の激しい十八層では月がまともに出ていること自体が珍しい。更には、迷宮区に
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