暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
第二章  曇天の霹靂
4.鏡裏の黒幕
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相手は当たるまで此方を仕掛けられる。
 逃げ道は無い。回避にも限界はある。

 ――何か、何かないのか……!?
 
 あと一つでも聖水があれば、苦することなく倒せる相手だというのに。
 何か、この敵を倒せる何か。

 ワイアプラーを視界に入れつつ、俺は屋根裏部屋を見渡した。
 その時。

「――――!?」

 屋根裏部屋の最奥の壁、俺から約3メートルほど先、扉ほどもありそうな巨大な姿見から。

 ヒュン――、と見覚えのある何かが勢いよく飛び出してきた。

 ――あれは…………《聖水の小瓶》!!

 喉から手が出るほどに渇望していたモノが眼前に現れた精神的衝撃に、俺は反射的に動き出した。
 薄いガラスの小瓶に入ったそれは落ちれば当然砕け散る。
 そうはさせないと必死に俺は槍の石突を伸ばし、衝撃を殺すため柔らかくその柄に乗せてるようにして受け止めた。
 地面擦れ擦れで聖水の小瓶を受け止めた俺に、次いで疑問が流れ込むようにして溢れてくる。

 ――何故、姿見から聖水が?

 その疑問の答えを探るべくチラリと視線だけ姿見に向けると、それが映しているのは目の前にいる俺ではなく……モンスターと戦うレイアとチマだった。

 何故、姿見に彼女たちが映っている?
 何故、彼女たちは戦っている?
 何故、俺とルネリーが戦っているボスとは違う?
 何故? 何故? 何故? 何故?

 頭を埋め尽くす疑問の奔流に俺は――――

「――ルネリー!!」

 ワイアプラーの投剣を盾で弾く彼女に向けて、槍を振るって柄先に受け止めていた聖水の小瓶を放った。

 ――疑問の解消は二の次。最優先事項はボスを倒すことだ。

「え? ……っ!」

 急に名前を呼ばれて驚いたルネリーは、しかし自分に向かって投げられたもの正体に気付いて顔を引き締める。

「ハッ」

 パリーンッ!

 そしてルネリーは飛来した聖水の小瓶を、自分の剣で斬り砕いた。
 破砕した小瓶の中から聖水が飛び出し、ルネリーの剣に降り注がれる。

「いよーっし!」

 白光に淡く輝きだした刃に満足げに頷き、彼女はワイアプラーに向かって突撃した。
 二房の金尾を水平に靡かせ、一直線に走るルネリーは思い切り剣を振りかぶる。

 片手用直剣、三連撃技《エングレイブ・ペイン》。

 黄色の閃光が袈裟掛け、逆袈裟、諸手突きの軌道を描いて黒衣の死神へと吸い込まれる。

「セッ、ヤッ、タァ――!!」

 今現在のルネリーの最強の剣技を以って、



『ギャ……ギャギャギィィィ――――ァァ……』

 バッ、シャーン!!



 カースド・ザ・ワイアプラーは断末魔の咆哮と共に数多の光となって砕け散った。


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