SAO編
第二章 曇天の霹靂
4.鏡裏の黒幕
[4/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
が何らかの仕掛けを作動させたわけでもなく、あの姿見は最初から《ある法則》に則ってその通りに性質を変化させていただけだった。
――私がこれに気付いたのは、やはりあの日記のお陰でした。
九王暦591年 ミカンの月 13日の日記に書かれていた違和感。
部屋に入ったはずの《旅人》は、使用人が後から入ったら居なかった。
これはもしかしたら《旅人》が《姿見の中へと入ってしまった》からなのではと思いました。
そしてその日記の最後の『――昨日といえば、雲一つない夜空に満月が輝く良い夜だった。』という一文。
私はこれに違和感を感じました。何故この日だけ《天候》のことが書かれていたのでしょうか。
それだけだったら別に気にはならなかったでしょうが、姿見の件が関わってくるのだとしたら話は別です。
――姿見には、天候が関係するのかもしれない。
そう考えた時、パズルのピースが全てはまったような感覚がしました。
思えば姿見があるのは、何処もすぐそばに窓がある部屋だけでした。
ルネリーとキリュウさんが姿見に吸い込まれた時、月の光が窓から差し込んでいました。
私とチマが姿見を調べようとした時、月は雲に隠れ、すぐに大雨が降ってきました。
他の部屋の姿見を確認した時にも、大雨はまだ続いていました。
そしてこの屋根裏部屋に着いて、いつのまにか月の光が天井のステンドグラスを照らしていました。
それらから導き出される結論は。
――館にあちこちに存在するこの大きな姿見は、月光を浴びた時にだけ別の場所へ繋がるゲートになる。
この推測が間違っていれば、投げた聖水は【Immotal Object】である姿見にぶつかって砕け散ります。
「……っ!!」
一直線に姿見へと向かう聖水を祈りとともに凝視する。
しかして聖水は――――推測通り、鏡の中へとすり抜けました。
◆
「……」
拙い。完全に詰んでいる状況だ。
あと一歩のところで聖水の効果が切れてしまった。
俺の失態だ。最後の聖水だということは解っていたのに、安全に戦うことを優先していたために残りの効果時間を失念してしまうとは。
聖水や祝福の支援効果が無い状態では、実体の無いアストラル系モンスターにはダメージを与えられない。
攻撃手段を失くした俺たちは即座に撤退しようとした。
しかし、仕掛け階段を昇って入ってきた扉は固く閉ざされていた。
この屋根裏部屋に閉じ込められてしまったのだ。
――ボスの《カースド・ザ・ワイアプラー》の攻撃は避けることが出来る。
だが、それにも限界はある。時間が経てば集中力は下がり、体の動きも鈍るだろう。
此方の攻撃は効かない。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ