SAO編
第二章 曇天の霹靂
4.鏡裏の黒幕
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ていました。
私たちが大丈夫でも、キリュウさんとルネリーが未だ無事かどうかは解らないのですから。
――何か、何かないの!? 何か、この状態を打開するヒントは……!?
「にょわっと!?」
「!? チマ!」
「だ、大丈夫ッス!」
ノーブルヴァンパイアの周囲を回るように距離を取っていたチマに、敵のソードスキルがかすりました。
最初は普通に避けれていたはずの敵の攻撃が。
――いけない。チマも限界が近い……。
実際の体ではないゲームの中であるSAOに、肉体的な疲労はありません。
だけど、脳だけは絶え間なく情報を処理しています。即時判断の連続である戦闘を続ければその疲労は大きくなるばかり。
ここは一度引くべきでしょうか。
落ち着いた場所で作戦を練ってから再挑戦するべき?
妨害系ソードスキルを放ちながらそんなことを考えたその時。
「ふぅぅぅ〜……ぃよいしょう!」
深呼吸して気合いを入れなおしたチマが、自分の大剣を担ぎ直しました。
大剣の刃がキラリと反射したのはステンドグラスと窓から差す月光。
その光は、部屋の最奥までを照らし――
「え……!?」
偶然視線を向けた先、月光に照らされたあの大きな姿見に映っていたものは、私たちが会いたいと願い想い続けていた相手。
金髪をツインテールにした私と同じ顔をした少女――ルネリーと、蒼い髪と同じ色の鋭い双眸を持つ長身痩躯の男性――キリュウさんでした。
「チマ! あの鏡を見て!」
「ほへ? って、のえええええ!? ルネリー! キリュウさん! どどどどうしてッスか!?」
「ボスが居ることも忘れないで、チマ!」
「ちょ、まっ、わ、わかってるッス!!」
私とチマはノーブルヴァンパイアと対峙しながらも、鏡に映った二人に気が気ではありませんでした。
――どうして? どうして《今》?
先ほどまで姿見が映していたものは確かに私たちとノーブルヴァンパイアとの戦いでした。
しかし今は、《Dummy The Wirepuller》と頭上に表示された死神のようなモンスターと戦う二人の姿が映っていました。
――考えて。
二つの違いを。
ルネリーたちが鏡に吸い込まれた時と、私たちがいくら調べても反応がなかった時の状況を。
ボスとの戦い始めの姿見の様子と、今の別の場所を移している姿見の様子を。
私がこの洋館で得たものとを照らし合わせて――――
「あ……」
そして、気付く。
現時点ではまだ只の推測だが、もしそうなのだとしたら、あの日記を見ていた時に感じた違和感にも説明がつく。
――私たちは《勘違い》していたんだ。
「レイア!!」
目の前を、茶色のセミロングの
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