SAO編
第二章 曇天の霹靂
3.慙愧の領主
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の眼がギランと紅く発光した。
ゆらり。《それ》が王座から立ち上がる。
二メートル以上の背丈と細長い手足を持つ長身痩躯。
金糸の装飾が施された紅いフロックコートにボロボロな漆黒のマントを羽織った青白い顔の男性。
『グガガ……ギガ……カ、ワク……』
不死者の館の主《Chagrin The Noble Vampire》。
わたしは直観した。こいつがきっとこの十八層の地の領主にして、あの日記を書いた張本人だと。
だけど、いったい何があってこんな悲惨な姿になってしまったのか。
血色の涙を流しながら、腰から装飾過多な細剣を抜いたノーブルヴァンパイアが奇声を上げてわたしたちに向かって襲いかかってきた。
「ひぃぃぃ!!」
白目――紅いけど――むき出し、よだれ零しまくり、犬歯鋭すぎ、カクカクした動きがキモ過ぎ!!
言いようもない忌避感にソードスキルを使うことも忘れて、わたしは自分の大剣をノーブルヴァンパイアに向かってがむしゃらに突き出す。
「ヤッ!!」
そのとき、わたしの体を回り込むようにしてオレンジの軌跡がノーブルヴァンパイアへと走った。
レイアの鞭スキルだ。
直撃するかと思われたそれを、しかし吸血鬼は軽快なバックステップで避けた。
「チマ!」
「――ッ!?」
レイアの声でハッとする。
彼女の攻撃による幾許かの空白で、わたしは自分の意識を戦闘モードに移行する。一度戦闘モードになれば多少はビビり状態からは抜けるのだ。
戦闘モードといえば恰好は良いが、要するに目の前の敵を《モニター越しに見るゲームの敵》と思い込むということだ。
わたしは一度引いたノーブルヴァンパイアに向けて突進をかける。
両手用大剣、突進技《クランブル》。
素早く一気に距離を詰めて下から斜めに切り上げるソードスキルだ。
しかし、ギャリン! と白く輝くレイピアの一閃――ソードスキルによって鋭い接触音を響かせて弾かれる。
わたしもノーブルヴァンパイアも互いにソードスキルの技後硬直で一瞬動けなくなるが、それを見越して相棒は既に動いていた。
バチン! と直後、吸血鬼の足にヒットする鞭。明らかに敵がよろけた。
「りゃああああ!!」
その敵のスキに、硬直の解けたわたしは吹き飛ばし効果を持つ大技を仕掛ける。
両手用大剣、単発重攻撃技《バーチカル・ディバイド》。
上段からの強烈な振り下ろしの斬撃が、ノーブルヴァンパイアを一刀両断にする。直撃を受けた吸血鬼は屋根裏部屋の最奥、鏡の近くまで吹き飛ばされた。
「ハッ、ハッ、フ〜……」
乱れた息を落ち着かせる。
今ので敵の三本あったHPバーのうち一本が半分ほど削れた。
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