SAO編
第二章 曇天の霹靂
2.鏡の表裏
[9/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ほー、『蹴散らす』なんて物騒な言葉をレイアが使うとは」
――それだけ私も余裕がないんだよ……!
というか、顔は真剣なのに声音は平然としてるって、チマってどうゆう神経しているんだろう。などと一瞬考えたが、今はそんな場合じゃない。
回復アイテムも心許無い状態では、さっきの轟音が、この《変化》が、この現状を打開してくれるかもしれない最後の希望。
「――チマ!」
私は新緑色の鞭、十五層でのクエスト報酬である《トワインズアイヴィ》を思い切り振るった。
鞭スキル行動阻害技《バインド・グラスプ》。
ダメージを与えることは出来ないが、スキルを解除するまで、自分も動けなくなる代わりに敵一体の動きを完全に停止させる。ただし、敵によって体重や体格は当然異なる。自分の筋力値やスキル熟練度が足りないと不発に陥るばかりか、技後硬直が普通よりも長くなる、一長一短なスキル。
ディ−プグリーンのライトエフェクトを纏った鞭がスケルトンの一体に巻き付き、完全に封じ込む。
「でぇぇぇっ、やあああ!!」
女の子にあるまじき豪快な気合いの発声と同時、チマは残りのスケルトン二体に突進し、近距離から範囲攻撃を放つ。
確か、両手用大剣スキル重範囲二連撃技《ゲイル・ヘリックス》。
オレンジ色の光と轟音を振りまいて、二回転しながら大きな鉄の刃でスケルトンたちを一文字に――いや二文字に斬り伏せました。
聖水の効果がバツグンなうえ、チマの攻撃力は私たちの中でも既に群を抜いている威力、レベルが十分に上なこともあり、重攻撃をまともに受けた敵は一撃でHPバーを消失しました。
「んで、こっちもッスねー……うりゃあっ!」
何処か気の抜けるチマの気合いと共に、私が拘束していたスケルトンは光に消えました。
「ふいー」
「ゆっくりしてる暇はないよ! 次の巡回が来る前にエントランスの方へ!」
「応ッス!」
大剣を肩に担ぎながら私に並走するチマ。
視界端のミニマップと、巡回モンスターの経路を記憶から照らし合わせ、極力戦闘は避けるように、けれど迅速に通路を抜ける。
「――え?」
「こ、これは……!?」
エントランスへ出ると、吹き抜けの二階へ出ます。
連絡通路である此処には、探索では何度となく訪れた場所。
しかし、今までには確認できなかった明らかな《変化》がありました。
――隠し、階段……?
広いエントランスの中央、煤出入口から正面階段まで敷かれた煤けた深紅の長いカーペットの丁度真ん中に、今までには無かった階段が――《四階へと続く吊り階段》が現れていました。
「そういえば、外から見たときはこの館て、四階建てだったッスね……」
そう、チマの言う通り、最初に外から確認した
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ