暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
第二章  曇天の霹靂
2.鏡の表裏
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ほー、『蹴散らす』なんて物騒な言葉をレイアが使うとは」

 ――それだけ私も余裕がないんだよ……!

 というか、顔は真剣なのに声音は平然としてるって、チマってどうゆう神経しているんだろう。などと一瞬考えたが、今はそんな場合じゃない。
 回復アイテムも心許無い状態では、さっきの轟音が、この《変化》が、この現状を打開してくれるかもしれない最後の希望。

「――チマ!」

 私は新緑色の鞭、十五層でのクエスト報酬である《トワインズアイヴィ》を思い切り振るった。

 鞭スキル行動阻害技《バインド・グラスプ》。

 ダメージを与えることは出来ないが、スキルを解除するまで、自分も動けなくなる代わりに敵一体の動きを完全に停止させる。ただし、敵によって体重や体格は当然異なる。自分の筋力値やスキル熟練度が足りないと不発に陥るばかりか、技後硬直が普通よりも長くなる、一長一短なスキル。
 ディ−プグリーンのライトエフェクトを纏った鞭がスケルトンの一体に巻き付き、完全に封じ込む。

「でぇぇぇっ、やあああ!!」

 女の子にあるまじき豪快な気合いの発声と同時、チマは残りのスケルトン二体に突進し、近距離から範囲攻撃を放つ。
 確か、両手用大剣スキル重範囲二連撃技《ゲイル・ヘリックス》。
 オレンジ色の光と轟音を振りまいて、二回転しながら大きな鉄の刃でスケルトンたちを一文字に――いや二文字に斬り伏せました。
 聖水の効果がバツグンなうえ、チマの攻撃力は私たちの中でも既に群を抜いている威力、レベルが十分に上なこともあり、重攻撃をまともに受けた敵は一撃でHPバーを消失しました。

「んで、こっちもッスねー……うりゃあっ!」

 何処か気の抜けるチマの気合いと共に、私が拘束していたスケルトンは光に消えました。

「ふいー」
「ゆっくりしてる暇はないよ! 次の巡回が来る前にエントランスの方へ!」
「応ッス!」

 大剣を肩に担ぎながら私に並走するチマ。
 視界端のミニマップと、巡回モンスターの経路を記憶から照らし合わせ、極力戦闘は避けるように、けれど迅速に通路を抜ける。

「――え?」
「こ、これは……!?」

 エントランスへ出ると、吹き抜けの二階へ出ます。
 連絡通路である此処には、探索では何度となく訪れた場所。

 しかし、今までには確認できなかった明らかな《変化》がありました。

 ――隠し、階段……?

 広いエントランスの中央、煤出入口から正面階段まで敷かれた煤けた深紅の長いカーペットの丁度真ん中に、今までには無かった階段が――《四階へと続く吊り階段》が現れていました。

「そういえば、外から見たときはこの館て、四階建てだったッスね……」

 そう、チマの言う通り、最初に外から確認した
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