SAO編
第二章 曇天の霹靂
2.鏡の表裏
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――嗚呼、彼の優しさが身に染みる。
だけど、体の調子がおかしいのは事実。
なにか、いやに喉か渇く。
時々、意識が混濁する。
白昼夢を見ていたかのように、記憶が途絶える時がある。
――嗚呼、でも大丈夫だ。
彼が言うのだから問題は無いのだろう。
そういえば、我が館で働いている使用人は何人だったか。
やけに少なく感じたのだが、気のせいだっただろうか。
喉が渇く。
水差しの換えを常備させよう。
大丈夫。彼がそう言ったから。
――あ れ?
私は今日、彼と何を話しただ ろう か
そもそも
わたしは きょう
かれと はなしを したのだろうか
いや いつから はなしをしたきおくが ないのか
なにかが おかしい
かれは――
――いったい
――――どんな かおを していた?
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!
「えっ、な、何?」
日記も終盤に差し掛かったというところで、突如何処かから大きな音が聞こえてきました。
何かが、とてつもなく大きな何かが動いているような音。
「なななななナンの音ッスか……ッ!?」
洋館自体が動いているかのような轟音に、私とチマは同様を隠せませんでした。
けれど、未だ確定的な情報が無い現状で、ルネリーとキリュウさんとの合流の目途が立っていない状態で、何か館に変化が表れたというのなら調べるしか今の私たちに手はありません。
「チマ!」
「わわわ解ってるッス!」
不安顔から一転、覚悟を決めたチマが頷く。
残りの聖水を出来る限り即時使用できるように、ウエストポーチや衣服のポケットなどに入れておきました。
「HP全快ッ! レイア、行くッスよ!」
「うん!」
チマは腹を据えるのが早い。それはSAOに囚われる以前より感じていたことでした。
もしかしたら、何も考えていないということも彼女ならありえそうですが。
それでも意気込む彼女の勢いに、幾度となく助けられてきたのも事実です。
私たちは安全地帯である部屋を出ました。
「音はどっちから聞こえた?」
「えーと、たぶんエントランスからッス!」
面白そうだから、という理由で《聞き耳》スキルを取っていたチマにこの時ばかりは感謝しました。
部屋を出て右の通路を駆け、中央に位置する吹き抜けのエントランスへと向かいます。
「とーぜん、敵は居るッスよね……っ!」
巡回のスケルトン系モンスターの敵パーティーを視認。
確かこの通路はアストラル系モンスターの巡回経路にもなっているはず。
「蹴散らしていくよっ、チマ!」
「うわっ
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