SAO編
第二章 曇天の霹靂
2.鏡の表裏
[2/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
《鏡》がキーになりそうですね」
しばらく調べたが、もうこの姿見は何の反応もしない。ただの鏡だ。
誰かを通すことで効果を失くすのか? 解らないが、もしそうなのだとしたら、いつまでも此処にいても仕方がない。
「……探そう、戻る方法を。レイア、チマと合流する方法を」
「はい!」
俺たち二人は隠しダンジョンの探索へと乗り出した。
◆
九王暦586年 ハナノキの月 8日
何故だ。どうしてこんなことになってしまったのだ。
寡聞にして聞いたこともない、あり得ない現象。
いくら探しても、いくら考えても、解決方法は見つからない。思いつかない。
何故なんだ。何故、私なんだ。よりにもよって私の代にこんなことを起こさなくてもよかったのではないか。
あの日からというもの、我らは《力》を使うことが出来なくなった。
私から、我らから、全てを奪ったあの《災厄》。
衰える一方の我らとは逆に、万理の影より出ずる魔物共は以前よりも力が増したような気がする。
部下からは見慣れない強力な魔物が《降りてきた》とも報告に上がってきていた。
もう 散々だ。
何故、私の代でなんだ。
どうして私ばかりがこんなめに遭う。
私は郊外にある別荘として使っていた館へと籠った。
知らないのだ。私にも何が何だかわからないのだ。
領主だからとて、何でも私に訊かれても困る。
頼まれたからといっても、私にもこの現象をどうにかするなど不可能なのだ。
無責任と言われようが、能無しと蔑まれようが。
出来ないものは出来ない。
私に縋らないでくれ。
私が、誰かに縋りたいくらいなのだ。
本当に、どうしてこんなことになってしまったのか。
返してくれ 《力》を。
返してくれ 以前の日々を。
くるしい こころが
えがおなど とうにわすれてしまった
なみださえ すでにかれつきたようだ
どうか
どうか
――――どうか かえしてくれ
われらに わたしに
ちへいせんをこえてなおつづく あの《悠久なる大地》を――
「……これは、日記?」
蝋燭に灯された小さな明かりに寄り添うようにして、A4サイズの分厚いボロボロな本を抱えながら、さらりと解けるような長い銀髪を耳にかけながら友人が呟く。
洋館の外は大雨のようだ。窓を打つ雨音がその勢いを物語っている。
元々この十八層は天候変化が激しいのが特徴なので、暗いのに我慢すればわたしたち二人ともさほど気にはならなかった。
「みたいッスね……ぶっちゃけ内容は意味わからんスけど」
すぐ隣
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ