SAO編
第二章 曇天の霹靂
1.不死者の館
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たのだ。
酒場兼宿屋《魚心亭》の三階、三〇一号室のドアをノックすると、既視感とともに草臥れた顔の男性が顔を出した。
「やあ、ひさしぶりだね。わざわざ来て貰ってすまないね」
ツナギ姿の男性バートさんに促されて部屋の中に入る俺たち。
そこで待っていたのは、最初の時の印象からは想像もつかないほど上品な雰囲気を纏った女性――ミシン机に向かうアシュレイさんだった。
煌びやか、というわけではないが、茶色、焦げ茶色を基本とした落ち着いた色合い、所々に芸術的な細かい刺繍の入った衣服は地味な色に反して何処か豪奢を思わせ、市販ではない一点ものだと一目で解る。
作業を止め、ポケットの多くついた厚手の若草色エプロンを洋服掛けにかけて彼女はこちらを向いた。
「あら、来てくれたのね。――ちょうどいいわ、女の子たちはちょっと今作った何点かの服のモデルをお願いしてもいいかしらありがとう」
「まだOK言ってないんスけどっ!?」
「あ、あはは……」
「でもちょっとどんな服か気になるよねっ」
男性陣を置き去りにして盛り上がる女性陣。
彼女たちを尻目に、俺はバートさんに話しかけた。
「……今日は、素材収集の依頼かなにかですか?」
「ああうん。ちょっと気になる素材の話を聞いてね。……ほらアシュレイ、キリュウくんたちに今回の依頼の説明をしないと」
「ふむぅ、やっぱり着る人によって印象が変わるのも服の魅力よね……う〜ん、この部分はスムースに、いやいっそジャガードにするのもアリかもね――」
「いや話を聞いてよっ!」
「…………」
それから三十分の時を要し、ようやく本題に入ることになった。
今回の依頼内容は《加工済み》素材の収集。
今までは獣系モンスターからの毛皮や、木から木綿などの採取で《加工前》の素材を集め、裁縫スキルで徐々に加工していって布や糸を作っていた。
しかし、スキルの熟練度の問題か、それとも素材レベルの問題か、目の細かい布などは未だ作製出来ていない現状だという。既に熟練度が700を超えているアシュレイさん曰く、素材が圧倒的に粗い、らしい。
現段階で今以上のものを作るためにはどうすればいいのか。
未加工素材が粗いのならば、既に加工してある上等な布を使えばいいだろう。という結論に至った。
というのも――――
「第十八階層の山奥にアンデット系モンスターが出る古びた洋館があるらしいの。迷宮区攻略からは全く関係ない場所にあるせいか最近まで発見されなかったみたいよ」
その洋館のモンスターの中には布製防具をドロップするものもいるという。しかしその防具はたいていが古びていて、けして性能の良いものではないらしいのだが……
「裁縫スキルが高い私なら、防具の状態から素材の状態に
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