SAO編
第二章 曇天の霹靂
1.不死者の館
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しゃがめとせがむ。
――けど、ごめん。
「もう、おそいみたいッス」
「え……」
わたしが力なく手を上げて指差した方向へ視線を向けた時、レイアの表情は凍りついた。
『ゴルガルルゲァアアア!!』
『オォォォオオォォ……!!』
『……(カタカタカタカタ)……』
咆哮する獣じみたゾンビ、ローブを纏った髑髏なゴースト、人間二人分の骨が異様な形にくっついたようなスケルトンの巡回パーティーがわたしたちをロックオンしたみたいだった。
「き……キャアアアアアアアアアア!!!」
「わあああああああああああ!!!」
あたしとレイアは叫びながら駈け出した。
こうすれば叫び声を聞き付けたキリュウさんたちが来てくれるかもしれないのだ!
――はい嘘ッス。本気ビビりッス! だってホントに怖いんスもん!
校舎ぐらいはありそうなこの大きな館にだって安全地帯はある。とりあえずそこに逃げ込めば一時的ではあるけど落ち着くことが出来る。
ひぃひぃと這う這うの体で逃げ出すわたしたち。
キリュウさん、ネリー。どうか無事でいてください。
――あとっ! 必要以上にくっつくなッスよ〜〜!?
別の場所で同じく危機的状況に陥っているだろう二人の無事その他を祈りつつ、どうしてこんなことになったのか、今回の事のあらましについてわたしは思い返していた。
◆
ソードアート・オンラインに俺たちが閉じ込められて六ヶ月近くが過ぎた。
現在の最前線は二十三層。二十層から此処までは比較的穏やかな雰囲気の階層だった。主街区も他の階層のそれより規模はかなり小さく、点在する村も少ない。特に二十二階層などはフィールド上にモンスターは出現せず、ボスも弱かったために解放からたったの三日で攻略されてしまったほどだ。
攻略の勢いはそのままプレイヤーたちの士気を上げる効果をもたらす。
特に、《アインクラッド解放軍》というギルドはその勢いを利用してメンバーを増やし、人海戦術を駆使して大規模攻略に臨んでいるそうだ。
そのため、更に攻略速度は加速していくだろうとプレイヤー間で噂されていた。
「一週間ぶりくらいッスかね? あの人から連絡してきたのは」
「そうだねー。今度はどんな服を作ってるのかな?」
「装備としての服、だったらいいんだけどね」
「ちょ〜っと感覚がズレてるっぽいッスからねー、アシュレイさんって」
今、俺たち四人は十六層主街区《アズリオ》の宿屋へと向かっている。
素材収集依頼を受けて以降付き合いのある縫製職人プレイヤーの女性《アシュレイ》と、そのパートナーの両手斧重戦士の男性《バート》。
彼らから頼みごとかあるとメッセージを受けて最前線から降りてき
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