SAO編
第二章 曇天の霹靂
As2.村正
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とした。
少し歩くが、別の村に行っても何も問題は無い。
そう思い、踵を返そうとした。
「……そ、そんなことを言われても……」
「――っ!」
耳に入った気弱そうな声に、俺は反射的に振り返った。
――この、声は……!
約一ヶ月ぶりとなるが、ある意味、俺にとっては忘れられない声だ。
あのとき、俺が拒絶したときのことは、今でも鮮明の覚えている。
いや、忘れられるはずがない。
『……そう、ですか…………そう、ですよね。ぼくみたいな、足手まといなんて……』
『あの、ごめんなさい。なんとなく、断られるんじゃないかなって、そう……思って……っ』
――ファム……!
「は・や・くぅ〜! は・や・くぅ〜!」
「あっはっは」
「にしても、早くしてくんねえと、マジで手荒なことになっちゃうよん?」
「そうそう、SAOから強制ログアウトだよー」
「ははっ、それって逆に良いことじゃん」
「まあ、茅場晶彦が言うには、現実世界からもログアウトらしいんだけどね〜」
「人によってはそのほうが良いって言うかもな」
「……うぅ」
六人の男たちに囲まれ、小さくなっているファム。
この一ヶ月で、あいつがどれだけレベルを上げたかは解らないが、あの様子を見る限り、この状況を打開できるとは思えない。完全にあの男たちに呑まれている。
「……でも、そんなにお金持ってないですし……」
消極的否定。今のファムにとって、これが精一杯なんだろう。
しかし、クズたちにとって、そんなことは関係ない。
あいつらは、既にファムを獲物と断定した。自分たちよりも弱いと認識してしまった。
強気にでても、問題はないと解ってしまったのだ。
「ったくよー。おれらもヒマじゃないだよ。早くしろって!」
「あうっ」
男の一人がファムの肩を小突く。
たいして力は籠められていなかったようだが、その行為にファムがただ震えるだけというリアクションをしてしまったため、男たちは段々とエスカレートしていく。
「んだコイツ? ビビっちまったかァ?」
「そんなんでよくソロやってんなー。逆に勇気あるよ。はは」
「こりゃマジで金持ってるかアヤシくなっちゃったな〜。ま、とりまシステムウインドウ立ち上げろや。おれらが確認してやんよ」
一人、二人、三人と、ファムの肩、背中、頭を小突いていく男たち。
その光景に、俺はフラッシュバックを覚えた。
『――くっせぇ! おまえ風呂入ってんのかよ!?』
『汚ぇな。こっちくんなよ』
『うぇ〜い! バイキンだ! ほらターッチ!』
『いやぁああ! 男子! このバカ汚いでしょ! やめてよ!』
『せんせー。教室
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