SAO編
第二章 曇天の霹靂
As2.村正
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のパーティーに分かれている可能性もあるが。
しかし、それにしても、このプレイヤーを示す光点の配置……まるで一人を六人が囲うような……。
「…………」
俺は言いようも無い予感に従い、《隠蔽》を発動させる。
視界下部のハイド・レート表示は100パーセント。誰の視界にも入ってはおらず、かつ索敵もされていない状態だ。
オアシスが近いのか、辺りには身を隠せられそうな大きな草木がある。
俺は木々の陰を移動しながら体を隠しつつ、反応があった場所に近付いた。
「――だろ?」
男の声がした。人をどこか不快にさせる粘りつくような声だ。
「いいじゃんさ。別に全部くれって言ってるわけじゃないんだしさー」
「そうそう。こんなご時世なんだしさ、助け合いっつーの? おれらを助けて欲しいわけよ」
「最前線でソロやってんだし、じゅうぶん儲けてんだろ?」
「とりあえず、ここにいる七人で分けるとして……所持金の七分の六でいいや」
「だよな、分配は大事だ、うん。しっかり計算しないとな! あはは!」
「あ、アイテムもね〜」
一人を、まるで逃げ場をなくさせるように囲んでいる六人の男たち。
――胸糞悪ぃとこに遭遇したな……。
PKではないようだが、それにしてもカツアゲとはな。
こういうプレイヤーが出てくるだろうことは想定していた。
どうしようもないクズってのは、どこにでもゴキブリのように現れる。
まして、このSAO――此処の中じゃ、どんなに現実で弱かろうが、レベルを上げれば確実に強くなれる。誰よりも、誰よりも。しかし、その《強さ》で、自分は強い、何でも出来る、何をしても許される、と勘違いしてしまう馬鹿も出てくる。
此処には警察なんて居ない。強い者、レベルの高い者が傲慢に振る舞えば、レベルの低い者たちは誰も逆らえない。正に治外法権、無法地帯だ。
――最近じゃ、それをなんとかしようと頑張ってる連中も出てきたらしいが。
それも、そいつらよりもレベルの高い者たちが従わなければ意味は無いけどな。
「――ほらほら。おれらもさ、出来るなら手荒なことはしたくねーわけだし、要するに……早くだせや」
とはいえ、どちらにしろ俺には関係無い。
弱者が、強者――財力、人数が多い奴、権力や単純な腕力が強い奴に虐げられるなんていうことは、俺自身が身を持って知ってる。……ガキの頃から否応も無く、知らされた。
それが嫌なら、強くなるしかないんだ。
――だから俺は、せめてSAOでは強者であり続ける。あり続けたい……!
二度と、あの悔しさを繰り返すのは嫌だったから。
「……」
俺は誰にも気付かれていないうちに、その場から離れよう
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