暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
第二章  曇天の霹靂
As2.村正
[11/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話









 執事のお辞儀のように、右腕を腰の後ろに、左手を腹に添えるように前に出し、頭を下げる。

「?」

 が、これはお辞儀ではない。
 フェイント。いきなり下げた頭に注意を向かせ、後ろに下げた右手を相手の意識から外す。
 そして再び頭を上げると同時、右手で腰の武器の柄を掴み、両腕を前後に回したことで捻じれた胴体を解放する。

「――っ!」

 右斜め下からの抜刀切り上げ。
 逆手に持った愛剣――大振りの湾刀タルワールが、手前に居た短剣使いの胸を斬り付ける。

「うわぁあ!? て、テメェ……!」
「やりやがった! 人数差わかってんのか!」

 ――五月蠅い。雑音が酷い。早く、静かにさせなくては……。

「は、はやく回復POTを!」
「あ、ああっ」

 両手用の湾刀を片手だけで扱ったからか、あまり深手は与えられなかったようだ。
 しかし、多勢を相手にする時は、相手側に休む時間を与えてはならない。一人ずつ確実に無力化する。

「お、お前ら囲め! 同時に斬りかかるん――」

 リーダー格らしき両手槍使いが言いきる前に、回復のために下がった奴を追撃する。

 両手用曲刀突進系ソードスキル《ビセクトラッシュ》。
 射程六メートルを〇・八秒で詰めながら突き上げ攻撃を行う技だ。
湾刀の形状上、突き上げといっても、刺突ではなく斬撃ダメージとされる。曲線を描く刀身が相手の体を滑るからだ。
 俺は相手の右二の腕に狙いを付けた。

「ぎゃあ!」

 俺がこの両手用湾刀を使っている理由は、数ある武器の中で、この武器が《ある特性》において、他の武器よりもやや有利だったためだ。

「お、おれの…………腕があっ!」

 俺に右腕を斬られた男が無様に喚く。

 ――《身体部位欠損》。

 指、腕、足、胴体、そして首。特定の箇所に、その部位の防御力を加味した一定量以上の《斬撃》系ダメージを受けると起こる状態異常。切り離されたとしても、HPが回復すれば元に戻る。だが、戦闘中ではまず無理だ。回復結晶を使えばその限りではないが、ただのポーションでは時間がかかり過ぎる。忙しない戦闘中な上、モンスターの簡易AIも戦闘能力が低い者にヘイトを集め易い。
 ベータテスト時代、俺はこれを利用したPKを得意としていた。
 どの武器が一番部位欠損を起こし易いか、一つ一つ念入りに試し、結果、この《両手用湾刀》に至った。
 やはり直刃よりも曲刃、片手用よりも両手用の方が切断判定は高い。本当は《両手用戦斧》の方が一番だったのだが、これは重過ぎて当たりにくい。当たれば必殺だが、ソロでの鈍重は死を意味する。

「てめぇええ!!」

 近くに居た山刀(マチェット)使いがソードスキルのプレモーショ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ