SAO編
第二章 曇天の霹靂
As2.村正
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執事のお辞儀のように、右腕を腰の後ろに、左手を腹に添えるように前に出し、頭を下げる。
「?」
が、これはお辞儀ではない。
フェイント。いきなり下げた頭に注意を向かせ、後ろに下げた右手を相手の意識から外す。
そして再び頭を上げると同時、右手で腰の武器の柄を掴み、両腕を前後に回したことで捻じれた胴体を解放する。
「――っ!」
右斜め下からの抜刀切り上げ。
逆手に持った愛剣――大振りの湾刀タルワールが、手前に居た短剣使いの胸を斬り付ける。
「うわぁあ!? て、テメェ……!」
「やりやがった! 人数差わかってんのか!」
――五月蠅い。雑音が酷い。早く、静かにさせなくては……。
「は、はやく回復POTを!」
「あ、ああっ」
両手用の湾刀を片手だけで扱ったからか、あまり深手は与えられなかったようだ。
しかし、多勢を相手にする時は、相手側に休む時間を与えてはならない。一人ずつ確実に無力化する。
「お、お前ら囲め! 同時に斬りかかるん――」
リーダー格らしき両手槍使いが言いきる前に、回復のために下がった奴を追撃する。
両手用曲刀突進系ソードスキル《ビセクトラッシュ》。
射程六メートルを〇・八秒で詰めながら突き上げ攻撃を行う技だ。
湾刀の形状上、突き上げといっても、刺突ではなく斬撃ダメージとされる。曲線を描く刀身が相手の体を滑るからだ。
俺は相手の右二の腕に狙いを付けた。
「ぎゃあ!」
俺がこの両手用湾刀を使っている理由は、数ある武器の中で、この武器が《ある特性》において、他の武器よりもやや有利だったためだ。
「お、おれの…………腕があっ!」
俺に右腕を斬られた男が無様に喚く。
――《身体部位欠損》。
指、腕、足、胴体、そして首。特定の箇所に、その部位の防御力を加味した一定量以上の《斬撃》系ダメージを受けると起こる状態異常。切り離されたとしても、HPが回復すれば元に戻る。だが、戦闘中ではまず無理だ。回復結晶を使えばその限りではないが、ただのポーションでは時間がかかり過ぎる。忙しない戦闘中な上、モンスターの簡易AIも戦闘能力が低い者にヘイトを集め易い。
ベータテスト時代、俺はこれを利用したPKを得意としていた。
どの武器が一番部位欠損を起こし易いか、一つ一つ念入りに試し、結果、この《両手用湾刀》に至った。
やはり直刃よりも曲刃、片手用よりも両手用の方が切断判定は高い。本当は《両手用戦斧》の方が一番だったのだが、これは重過ぎて当たりにくい。当たれば必殺だが、ソロでの鈍重は死を意味する。
「てめぇええ!!」
近くに居た山刀使いがソードスキルのプレモーショ
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