SAO編
第二章 曇天の霹靂
As2.村正
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二〇二三年 一月二十一日 土曜日。
数時間前、ついにアインクラッド第六層が攻略された。
第一層の攻略に一ヶ月もかかったというのに、それ以降は順調に攻略は進んでいるようだ。
現在の俺のレベルは24。恐らく攻略組の中でもトップクラスのレベルだと自負している。
が、俺は攻略組ではない。何故なら、俺は一度としてボス戦に参加していないからだ。ボス戦に参加すれば、必ずパーティーを組まなければならない。人付き合いを極力避けている俺にとって、一時であろうと他人との協力は出来なかった。
他人との人付き合いなんて面倒くさい。
SAOでは、極論として、他のプレイヤーと関わりを持ちたくないと思えば、まったく人付き合いをしないでも生活できる。狩りや攻略で、危険度の増すソロプレイを続ける覚悟があれば、最低限NPCとだけ会話できれば問題はない。
――だけど……。
そう、思っていたのに、俺は最近おっさんのことをよく思い出すようになっていた。SAOに囚われてはや二ヶ月あまり。その間、俺はNPC以外のプレイヤーと会話をするということはなかった。人嫌いを自称する俺なのだが、正直こんなにも人と接しない時間が多かったのは初めてのことだ。
現実世界では、望もうと望まざるとも、好こうが嫌おうが、人との関わり合いは避けられない。自給自足が出来なければ、自らが働いて生活費を得るしかない。それは必然的に他人と接することに繋がるからだ。
だが、SAOではその必要がない。
金を稼ぐにはモンスターが居ればいい。宿や食事もNPCが居ればいい。
俺が望んだ世界。自分以外、誰も要らない世界。そのはずなのに。
――まさか俺は……《寂しい》と、そう感じているのか……?
いざ誰とも話す必要がない世界に来てみると、何故か無性にあの無骨な店主のいる居酒屋が懐かしくなる。
自分がいくら強くなっても、それを比較できる相手が居ない。自慢できる相手も居ない。ボス戦に参加もしないということは、自分の強さを誰かに見せつけることもできない。
だから、最近思う。
――なんのために、俺は強くなるのだろう……。
と。
浮遊城アインクラッド第六層。
見渡す限り岩肌の丘陵地が連なっているフィールドが特徴の階層で、ベータテスト時ではこの層までしか到達できなくて、六層迷宮区のフロアボスを倒す前にテスト期間が終わってしまった。俺を含む元ベータテスターたちが独自で情報を持っているのはこの第六層までだ。これより先の第七層以上は、文字通り手探りで攻略を行わなければいけない。
昨日、第七層の主街区が解放されたので、今頃プレイヤーたちは主街区でお祭り騒ぎを続けているか、もしくはおっかなびっくりに未知のフィールド
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