暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
アリシゼーション編
序章?彼の世界で待つ者
白亜の塔で待つ者達
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さって下さい。たった3日で前回より部屋の惨状が酷くなっているように思えますが?」
「気のせいだってば。ほら、整理なんかしなくていいから修練所行くぞ」
「い?い?え!今日という今日は片付けて貰います!何だかこの部屋が散らかっているのを見ると片付けたくなりますし」
「…………そうか。なら、早くやってしまおう」

 剣と神聖術の師は優秀だが、だらしがない。週に数回修練を共にするのだが、その日は決まってこの部屋の惨状に苛々していた。
 散っている本や羊皮紙を拾い集め、本は棚に、羊皮紙はまとめていく。
 自分はこんな綺麗好きだったろうか。だらしがないという事は無いが、ここまで……。

「さ、終わりだ」
「今度は散らかさないで下さいね」
「善処するよ。……ああ、そうだ。部屋に忘れ物をしてしまったな。済まないが先に行っていてくれ」
「分かりました。お待ちしています」






「……君は、変わらないな、アリス」

 今しがたアリスが出て行った扉に向かってボソ、と呟く。

「もう、いいぞ」
「…………」

 本棚の陰から出て来たのは彼の補佐役を務める女性。

「辛いだろう。会ったらどうだ?」
「……私は、レイみたいに器用じゃないから」
「俺だって慣れないさ。……特にアリスはお前も可愛がっていたしな。俺も本音を言えば辛いよ」
「うん……っ」

 肩を震わせる細い体を抱き寄せ、その背を優しく慈しみを込めて撫でる。
 レイにとって彼女はこの世界で最も大切な人。《向こう》で出会い、別れ、この世界でずっと昔にまた出会った人。

「ラン」
「うん、ごめんね、レイ。もう大丈夫。アリスの所に行ってあげて?」
「ああ。……それじゃあ、行って来ます」
「はい、行ってらっしゃい」

 互いに気恥ずかしそうにそんなやり取りを交わし、レイは部屋を出て行った。









「……ごめんね、ユウ」
















 カコン、と庭園の『ししおどし』が竹の音を響かせる。
 京都洛外某所に建つ『異様』な建築物。

 が、その建物の門前を行く人々はその建物に余り関心を示さない。ごく少数の者だけが門前で足を止め、観光ガイドと目の前の門を見比べて首を傾げながら去って行く。

 この建物は一応築数百年ではあるが、特段有名な建築物ではない。かなり大きいがただの民家として地元民には知られていたが、広大な寺院が建ち並ぶ京都という土地柄か、観光客にはマイナーな歴史的建造物に見えたりする。
 しかし、その認識と実態は随分とかけ離れている。
 戦国時代末期を起源とする『かぶき者』達の古来よりの根城であり、今なお仁義に生きる者達を取り仕切る『武侠』達の住まう場
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