アリシゼーション編
序章?彼の世界で待つ者
白亜の塔で待つ者達
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らない。何も覚えていない。分かるのは自分の名を目の前の人に呼ばれたということだけ。
「貴女は……」
「私は最高司祭、アドミニストレータ。天界より貴女を人界に召喚したの。貴女は整合騎士として人界を守護する役目を負っているのよ」
「整合、騎士……」
何故だろう……何かが引っかかる。だが、上手く思考がまとまらない。まるで、その事を考えることを脳が拒否しているかのように……。
「召喚の影響で記憶がまだ不安定なのね。大丈夫、貴女が使命を全うした時全て思い出せるわ。今までの事、大切なもの、愛する家族の事を」
「……分かりました。使命を、全うします」
体が勝手に動いて目の前の……最高司祭様に首を垂れる。
それを見たアドミニストレータは満足そうに微笑むと、そっとアリスの肩に触れて立つように促した。
「後は頼みました。ベルクーリ、レイ」
「承知しました」「ああ」
後ろを振り返ると、人が2人立っている。アドミニストレータは自らの命に2人が応えたのを確認すると、何処かへ去って行った。鈍色の騎士甲冑をまとった大男と漆黒の騎士甲冑に紅マントを羽織った男。
大男の方が近づいてくると、その厳つい手を差し出して来て言った。
「俺ぁ整合騎士団の団長やってるベルクーリ?シンセシス?ワンってんだ。よろしくな嬢ちゃん。んで、こっちが……」
「教会付き剣術指南役のレイ?トレーター?ルナだ。慣れるまで君の剣や神聖術を見ることになる。よろしく」
差し出された2つの手を握り返してそれに応える。だが、
「…………?あ、あれ?」
「……おいおい、どうした嬢ちゃん?」
頬を伝うのは暖かな液体。同時に何か形容し難い感情が湧き起こった。
「言ったろう、ベルクーリ。記憶が不安定な内はこんな事もある。それに、この子はまだ若いだろう」
「お、おう。そうか……あー、嬢ちゃん。大丈夫だ、おじさんは怖くないぞ?」
「そうじゃなくてだな……」
仕方ないな、とレイがため息を吐き、おもむろにアリスの頭に手を置いた。
「さてと、それじゃあ行こうかアリスちゃん」
「あ……」
訳もなく流れていた涙が止まる。胸の奥が絞られるような切なさと懐かしさ。
何故かは分からないがこの人ならば信じられると、そう思った。
自分の記憶はかなりちぐはぐだったが、いつしかそれは気にならなくなって行った。
アリス?シンセシス?サーティはダークテリトリーの怪物達から人界を守るべく天より召喚された整合騎士。彼女より先に召喚された29人の騎士達も皆手練れだ。彼らに負けないように、無論人界の民を守るためにも鍛錬を重ねなければならない。
「……師匠、何度も申し上げていますが、少しは部屋を整頓な
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