アリシゼーション編
序章?彼の世界で待つ者
白亜の塔で待つ者達
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セントラル?カセドラルに来てから1年。人界の中心に来てから知識は増えた、神聖術も益々上達した。それでもなお分からないのは、教会で働く人達は故郷の人々と比べてどうも何かが違うという事だ。
感情の起伏が少なく、与えられた仕事を眈々とこなすだけの役目を果たすだけの存在。それに比べ、師であるレイや目の前の女性は故郷の人々と同じ位……いや、もしかしたらそれ以上に快活だ。
「そうだ、アリスさん。まだ時間はありますか?」
「え?……大丈夫、ですけど」
師の部屋の掃除ーーー日によっては神聖術の出来を見てもらう事もあるーーーはいつ終わるか分からない。故にアリスは師の部屋に来る時はその日のやるべきことを終わらせてから来ることにしていた。今日のところは部屋に戻って大人しくしていようと思っていたのだが……。
「良かった!私も今時間が余ってるの。少し、私の部屋でお話ししましょう」
「……はい?」
唐突かつ、脈絡のない発言に思わず気の抜けた返事をしてしまう。その返事を是と取ったのか、女性は本棚の一つにそっと触れると本を一冊奥へと押した。すると、
ーゴゴゴ…??
本棚が宙へと浮かび、天井へ張り付く。そして、本棚の奥には茶こけた木製の扉があった。
明かりが点けられた扉の奥の部屋は手前の部屋の約2倍程の広さがあった。
一番奥に大きな天蓋付きベット、手前には大きな丸テーブル、目の前には棚や本棚。その脇には何やら見たことの無い設備がある。たが、注意して見るとそれが何なのかが明らかになった。
熱に強い鉄素材で作られたそれらは庶民の家庭でも見られる調理器具だ。
カセドラルには大食堂という職員や修道士達が利用する施設があり、そこで出される料理は厨房と言われる施設で作られるらしい。噂などから推測するに、目の前の謎の設備はその類のものだろう。
「お茶を入れます。そこの椅子に座っていて下さい」
言われるがままに椅子に腰掛け、調理場の方で湯気が立ち上り始めてからハタと気づく。
(何やってるのよ私は!?)
人界第三位相当の人物の部屋に来た挙句、お茶会。しかも動いているのは当の教会付き剣術指南役補佐。今更手伝おうにも、もうポットに湯を入れている段階だ。
「お待たせしました。お口に合うか分かりませんが、どうぞ」
「あ、ありがとうございます……?」
目の前に置かれたのはティーカップではなく、灰色のコップだった。
故郷でコップと言えば、木から削り出した木製のもの。教会にも木製(無論、完成度が違うが)のコップはあるが、中にはガラス製のものある。しかし、目の前に出されたコップはそのどちらでもなかった。木製やガラス製コップより重厚
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