SAO編
第二章 曇天の霹靂
As1.望んだ世界
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ムメニューウインドウを開いた。
「…………あぁ?」
ログアウトボタンに触れようとして指が止まる。
ベータ時代に散々押してきたボタンがそこには無かったからだ。
仕様でも変わったのかと思いウインドウ内を探す。
「……無ぇ」
しかし、幾度探そうと目当てのものは無かった。
――バグか?
ベータ版じゃ、バグらしいバグなんてものは無かったっつぅのに。
こりゃ今夜は荒れるな、と考えて、ハッとなる。
――やべぇっ、仕事……!
急ぎ俺はウインドウ内にあるGMコールを発した。
だが、五分経ってもなんの応答も無い。他のプレイヤーも大勢GMコールをしていて対応が遅れているのかとも考えたが、それならば全員を強制ログアウトさせればいいだけじゃないのか?
焦りつつも時間は無情にも刻々と過ぎていく。
学生時代のイジメにより、他人との交流を極力減らしていた俺には、知り合いなんて居ないから相談出来る者も当然居ない。現状を打破する策は……無い。
システムウインドウ内の時刻表示が午後五時を示した時、俺は天を仰ぎ「おわった……」と呟いた。
そしてその三十分後、俺の言葉通り確かにそれは終わった。
「っ! な、なんだ!? 強制、転送っ……!?」
――そう、遊びゲームが、終わったのだ……。
「ハ……ハハッ、ハ……アッハハハハハ! クハハッ、クハハハハハハハハハハハハハハハッ!!」
俺は、はじまりの街を飛び出し、フィールド駆けていた。
心が弾む。足が軽い。今ならなんでも出来そうだ。
俺の胸を満たすのは《歓喜》。何故なら、叶わぬと思っていた俺の願いが現実となったからだ。
――感謝する、茅場晶彦……!
フィールドで強制転送された俺は、はじまりの街の中央広場に出た。
そこで聞いたのは、SAOとナーヴギア開発の第一人者である茅場晶彦の声明。
アインクラッド完全攻略までログアウトは不可。
HPゼロは、現実での死。
広場に居た一万近くのプレイヤーたちは、その話を聞いて負の感情を撒き散らしていた。
――だがしかし、俺はその真逆だった。
こんなに嬉しいことはない。何故、他のプレイヤーたちが嫌がっているのかが解らない。
要は、生きる世界が変わっただけだ。現実か、SAOかという違いだけだ。
HPがゼロになったら死ぬ? そんなの現実でも同じだろうよ。運悪く車にモロに撥ねられでもすら一発じぇねぇか。運悪くHPがゼロになったら死ぬんだからよ。
だけど、SAOは現実じゃ出来ないことが出来る。
人は超人の如き力を得られるし、素人がプロ並みの料理や道具を作れる。
努力すれば、必ず望むものを手に入
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