SAO編
第一章 冒険者生活
Ex2.裏方の仕事人
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ス戦で、ボス以外にも注意を向けろというのも、信頼できるプレイヤーだからこそ頼みにくい。なんとも難しい話だ。
――キリトには、なるべくこの件は伏せておきたいしネ……。
彼は、第一層のボス戦でビーターとなった。
それが、あと九十九層あるアインクラッド攻略完了まで嫌われ者になり続ける覚悟をしたうえで宣言したのか、それともその場のノリだったのかは、彼の人柄からは微妙に判断が付きにくい。
が、それでもその行動はプレイヤー全体のためであったし、その行動によって救われた者も少なからず居る。
その反面、キリトも苦悩していることだろう。なぜなら、いつ誰かに非難されてもおかしくない状況を自分自身で作ってしまったのだから。
だからこそ、これ以上の面倒事をアイツに背負わせることはしたくは無い。
特に深い仲、というわけじゃないけど、まあまあ長い付き合いでもあることだしな。
「…………ふむゥ」
長く考えている時間も無い。
と、いうわけで、もういっそのことキリュウに賭けてみるというのはどうだ?
バリーモッドは元ベータテスターといっても、攻略組というわけじゃない。
レベルもプレイヤーとしての技術もそこそこ、といった塩梅だ。
スキル構成も《聞き耳》みたいな両手剣士には不釣り合いなものがある以外は普通。
これならキリュウくらいの実力者なら問題は無いと判断できる。
――問題は彼が協力してくれるかどうかダネ。
キリュウ自身、この件を問題視してはいるようだが、関係の無いプレイヤーのために命をはってくれるのか。
話を聞く限り、迷っている印象を受けた。
あの年頃特有の無垢な正義感と、現実的な損得勘定で板挟みになっているんだろうと推測。
あの堅物少年を説得するには――
「…………クフ。くふハッ……にゅっふっふハハハ!」
自然と笑いがこみ上げてくる。
この私が、ここまで人間関係で悩むとはね。
今までは――ベータ時代やそれ以前のMMOのときには、そんなことは考えなかった。
騙された方が悪い。やられる前にやれ。
やられたくなければ、相応の対策を事前に考えてしかるべきだ。
――でも……。
このデスゲームが始まってから、私の考えは明らかに以前と変わった。
出来ることならプレイヤー全員で協力してアインクラッド攻略に臨みたいし、プレイヤー間の諍いはなるべく起こしたくない。
そんな考えもあったからこそ、無償のエリア別攻略本なんてものを放出したし、ベータテスターと思われるのも覚悟の上でボスについての情報を公開した。
……いやまあ、もちろん色々とメリット、デメリットは計算したけどね。それでも根幹にあるのは純粋な人助けだと私は思っている。
「…………っ、ハァァァ〜……
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