SAO編
第一章 冒険者生活
Ex2.裏方の仕事人
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若干の迷いが帯びているのを感じた。
――何を迷う?
いや、考えれば解ることだろう。
「ン〜、なるほどネ。人を陥れるような話を聞いてそれを何とかして防ぎたいと思っタ。でもビーターなる人物が噂通りの俗物なら関わらずに放っておこうと…………こういうコト?」
この少年が見た目とは違い、かなり人が良いということは解っている。が、事は考えれば考えるほど簡単じゃない。それを知りつつ意地悪な言い方をしてしまう自分に少し反省。
「にゅははハ〜。ちょっとしたジョーダンだから、そんなに傷付いた顔しないでくれヨー」
顔に影が落ちるのを見てすかさずフォロー。忘れがちだけど、まだ中学生なんだよね、この少年。
でも、この件に関わるならまだまだ意思確認をしなければならないことが多くある。
――少年……キミは、私たちテスターにとって敵となるのか? それとも……。
私は続けて、またもや意地悪な質問を投げつける。
「だが、いいのカ? もし、仮に噂はデタラメでビーターが実は良い奴だったとシヨウ。そして、その答えを聞いたキミは彼を助けようとするのだろうナ。……で、そのあとハ? 聞いた限りじゃ、まあ穏やかな話でもなさそうだシ、それに出る杭は打たれルっていうしナ。この件は決着の着け方が問題ダ。しかも今後、きっとそういうバカはたくさん出てくるゾ? キミはそのとき、どうする気なんダ?」
キリュウは沈黙した。彼が何を考えているのかは解らないが、少なくともテスターわたしたちの敵にはならないだろうという漠然な予感はしていた。
きっとこの少年は、思ったより頭は良くない。
それは勉強が出来ないとか、とっさの判断が出来ないとか、そういう頭の良さではなく、人と人との付き合い方などの人間関係において、なんというか要らない事まで考えているというか、人が良すぎるというか、そこまで考えなくてもいいんだぞとは思う。
――まあ、だからこそ信頼の置ける人物足り得るのではあるんだガネ。
キリュウは約一分の後、未だ迷いの晴れない顔で言ってきた。
「……解らない、どうしたらいいかなど。……だが、だからといって放置するわけにもいかない」
はて、と思う。今の響きには迷っていた先ほどとは逆に、確かな意思を感じた。
直ぐに私は訊き返す。相手が相手なのでシリアスになり過ぎないように注意しなければならないのが辛いところだ。
「ほーウ、それはまたどうしテ?」
元々説明するつもりだったのだろう。キリュウは間も開けずに話しだした。
「……昨日この村へ来たときに、一人の男性プレイヤーにフロアボス会議の日取りを質問した。そして今日、中央広場で行われた会議のあと、再び会ったそのプレイヤーは《バリーモッド》と名乗った。彼は仲
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