SAO編
第一章 冒険者生活
13.戦場霧中
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古樹の巨人《ライオット・ジ・エンシェントトレント》との戦いは、あたしが想像していたのとはちょっと違ったけど、その忙しなさは想像以上だった。
あたしたちの部隊は、スイッチを重ねた行動阻害系ソードスキルの連発によってスキル効果の重複を狙い、ボスの足止め的な役割をする。支援目的のため攻撃力は弱いけど、そのかわりボスの憎悪値を必要以上に上げることも無い。
決して安全ってわけじゃないけど、ボス戦部隊の中では一番ローリスク、ローリターンな部隊なんじゃないかと思う。
「ボッ、ボォォオオオオオ!!」
それでも暇ってわけじゃない。
あたしたちはずっと動き回っていた。
「ボスが移動するぞー! 攻撃部隊、下がれぇー!!」
「壁部隊は前に出てくれ! ボスの移動線上は開けて……馬鹿そこ違う! 動きが止まってから囲むんだよ!!」
「一旦攻撃中止! 支援部隊は下がりつつボスの真横に移動します! 今の隊列のまま横に動いて下さい!」
四メートル近い巨体を持つボスの動きは遅い。だから比較的、攻撃場所の移動に難は少ない。
……なんだけど、やっぱりその重量から繰り出される攻撃はかなりの威力らしく、たった二回攻撃を受けただけで、壁部隊前線のプレイヤーは回復ポーションを飲むために後続と交替していた。壁役プレイヤーたちの頭上のHPバーも、ボスの攻撃を受けたときにガクッと大きく削れるのが遠目にも見て解った。
重装甲を纏った壁部隊のプレイヤーたちでさえそれだ。あたしたちみたいな革布主体の軽装備、しかも支援部隊は両手用の長物武器が多くて盾を持つプレイヤーは少ないのに、もし、ボスの攻撃が当たってしまったらどうなってしまうのか。
「そこっ、止まるなよ! 動け動けぇー!!」
「早く! 早く行ってくれって、リアルで!!」
「うおおおおお!! マジ、こぅえええええ!!」
そういった恐怖があるせいか、ボスに動きがあればプレイヤーたちは過敏に反応する。ボスの動きが遅いとは解っていても、早く攻撃範囲外に移動したいという気持ちは止められない。あたしたち含め、プレイヤーのみんなは逃げることに必死だった。
「やばいッス……あれ、やばすぎッスよ!」
「チマ、急ぎたいのは解るけど、はぐれないように気を付けて……!」
「……こうも周りに人が多いと、自由に動きようも無いな」
「そうですけどっ、でも逃げなきゃあぶないですよ!」
落ち着いているように見えるキリュウさんも、その視線は周囲を見渡すように忙しなく動いていた。 いつも的確なアドバイスをくれるキリュウさんだけど、今回ばかりはどうしようもなさそうだ。
はっきり言って、今までモンスターと戦ってきた経験はボス戦じゃ意味を成さなかった。
そもそもあたしたちは、少人数での効果的な戦
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