暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
第一章  冒険者生活
13.戦場霧中
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ゃ……、――なっ、()ぇっ!?」
「っ!」

 反射的に上を向く。
 縦一本の影が、次第にその幅を広げていた。

 ――真上からの攻撃……!

 咄嗟に俺は右方へ横滑りに回避運動を行いながら、左腕で直ぐ背後に立つバリーモッドの躰を同方向に押し出す。
 だが、霧中に映る影の膨張から推測できる攻撃速度を考えると間に合わない。
 回避行動と同時に、俺は右手に持つ槍を頭上に突き出した。

「くっ」

 影――振り下ろされる太い触手に、槍の穂先が直角に当たり、その重圧によって槍の柄が強かにしなる。
 今にも折れそうなくらいに弧を描いてしなった長槍。

「バリーモッド! 跳べ……ッ!!」
「はあっ!!?」

 疑問の叫びを上げながらも彼は同時に右方向へと跳躍する。
 瞬時に石突を己の腹に当てる。
 真上から圧迫され、支える俺とで挟まれて限界までしなり切った槍の柄は、俺が空中へ跳び出したことにより、圧力の逃げ場所を得る。
 更に此方に迫る巨根の鞭に押されながら、槍は弧から直線へと戻ろうとする。

「……ムッ!!」

 その反発に押し出される形となって、空中の俺たちは攻撃範囲から逃(のが)れることが出来た。

「――ぐはっ!?」

 つい今し方まで立っていた位置、正面からバシャーンッ!! という叩き付ける衝撃音が聞こえるのと同時に着地する。背後では叫喚が。どうやらバリーモッドが着地に失敗したようだ。

「……大丈夫か?」
「う、うるせえ! テメ、指示がいきなりすぎんだよ!」
「……大丈夫のようだな。なら、立ってくれ。またすぐに次が来るかもしれない」
「コ、コノヤロウ……」

 元々、敵同士と言ってもいい男と共闘している。不可思議な状況だが、その理を追求する余裕は無かった。
 必要最低限は話さず、俺とバリーモッドは次々に襲いかかる触手に神経を集中した。







「……晴れた……毒ガスが晴れたぞぉー! ボスのHPもあと少しだ! 全員、再攻撃の準備ィィィ!!」

 幾度目かも解らない攻撃を弾いて数秒後、やや離れた場所から掛け声が上がった。
 どどどどど、と地鳴りと共にプレイヤーたちがボスへ駆けていく。

「……た、耐えられた……のか?」

 紫色の靄が消え、周囲が見渡せるようになってきた。
 巨人へ群がりゆくプレイヤーたちを茫然と見ながらバリーモッドが呟く。

「……っ! ……くっ」

 しかし俺の顔を見た瞬間、彼は気まずげな表情を見せ、その後ボスとは反対の方向に走って行った。

「…………」

 もう、彼がビーターを狙うことは無いと思う。少なくとも今回は。
 明言していた訳ではないが、何故かそう思えた。

「……ふむ」

 アルゴの
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