SAO編
第一章 冒険者生活
13.戦場霧中
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い方をキリュウさんから教わってきた。こんな大人数での戦いは想定外だ。
ソードスキルなんて現実ではありえないものがあるけど、この戦いは大昔のまだ銃火器が無かった頃の戦(いくさ)と似ていると思う。大人数でぶつかり合う兵士せんりょくの削り合いをするような戦いだ。
でも、このボス戦ではそんな犠牲は許されない。出来れば全員で生きて帰りたい。
だからそのためには、プレイヤー全員の一糸乱れぬ機械のように正確な団体行動が求められると思う。まさに本当の軍隊のような動きが。
今みたいに、最低限はやることが解っていても、足並みはバラバラ、各部隊同士の意志疎通も満足に出来ていない状態じゃ、もしかしたら最悪の事態も考えられる。
――なんとかしたい。
だけど、出来ない。それがもどかしかった。
「――《雨》が来るぞー! 範囲外から退避しろー! 退避出来ない奴は盾の後ろに移動しろよォ――!!」
巨人が、剣を持っていない左腕を首に巻きつるようにして体を捻る。
アルゴさんの攻略本の情報曰く、《ア●ーンのポーズ》らしい。……意味は解らないけど。
「みんな! あたしの後ろに!」
あのポーズは《広範囲投剣スキル》の前兆だ。
範囲外まで逃げられないと感じたあたしは、左手に装備しているラウンドシールドを掲げて、ボスとレイアたち三人の間に入った。
「……俺はいい。流石に三人を庇うのは無理だ」
そう言ってあたしの隣に来るキリュウさん。
ボスに向けて、二メートル以上ある長槍を体の前に掲げている。
――も、もしかして……槍をくるくる回して飛んで来る投剣たちをキンキンキンッて弾くやつをするのっ!?
漫画で見たあの動きが実際に見れるかもしれない、と状況も忘れてそんなことを考えてしまうあたし。
色んな意味でドキドキだった。
「来るぞ!!」
「うおおおお!!」
「誰か盾! 盾ェ!!」
ボスの根で出来た左腕が紫色の光を帯び、腕全体がささくれ立ってトゲトゲになる。
ハリネズミのようになったその左腕を、ボスは裏拳を放つように振り払った。
「バッ、ボオオオオオオオ!!!」
振り払われた勢いで無数の棘が腕から飛び放たれ、まるで雨のようにプレイヤーたちに降り掛った。
ボスにとっては小さい棘。だけどあたしたちプレイヤーにとっては短刀ほどもある杭の雨だ。
「く、うっ……」
ガンガンガンガン! とあたしの盾を打つ棘の雨。
濃い紫色のライトエフェクトを纏っているのも相まって、それは黒い雨に見えた。
痛みはないけど、その分衝撃が凄い。棘に打たれるごとにじりじりと押され、視界端にあるあたしのHPバーが、ほんの微かに削れる。
――盾を持ってるあたしですらこれなのに、キ
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