SAO編
第一章 冒険者生活
12.ビーター暗殺
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切られた、という印象。
「…………」
あの木が、この第三層のフロアボスだという。
森で遭遇した《トレント・サプリング》というモンスターと同じように、ただの木に扮している間は索敵スキルにかからないそうだ。
バキ……バキバキ――。
「!?」
全部隊がボスの部屋に入った瞬間、目の前の木が軋みだした。
バキバキ、バキバキバキバキ……ッ
木板を連続して割るような音がドーム内に響き渡り――――そして、それは現れる。
「ボスが動き出すぞー! 壁部隊は前に、前に出ろ――ッ!!」
地面が盛り上がり、と地中からボコッと腕が出てくる。
――腕……じゃない!? 根っこ? 手の形をした根っこ、なの……!?
腕だけじゃない。地面からぼこりぼこりと出てきた体、足、その全てが大小の根が何重編みにもなって作られていた。まるで理科室で見た人体模型の筋肉繊維まる見えの体だ。
そして、最初から見えていた幹の部分が顔の位置にあった。
言うなれば、顔だけ残して地面に埋まっていた人が、ごそごそと這い出て来る。そんな感じ。
バキ……バキビキビキバキャアアッ――――!!
最後に、ボスの顔と思われる幹の部分、その表面が、上下に裂けた。
それは、ハロウィンのカボチャのような、ギザギザの口に見えた。
「ゥゥゥ…………ボォオオオオオオオ!!」
空のペットボトルの飲み口を横から吹くと鳴るような、しかしそれとは桁違いのお腹に響く重低音を、その裂けて出来た空洞くちから噴き出すボス。
「……あ」
目の前の光景に見入っていたあたしは、いつの間にかボスの頭上に生まれたカーソルに気付いた。
既にアルゴさんの攻略本で確認していたのに、いざ名前を見た時、あたしは思わず息を呑んでしまった。
荒れ狂う古樹の精《Riot The Ancient Treant》。
焦げたツンツン頭が特徴的な、根っこで出来た身体を持つ巨人が、そこに居た。
「おっ、きぃー……」
意図せずに出るその言葉。誰もがきっと、目の前の木の巨人を見て、同じ事を考えたと思う。
アルゴさんの情報通りならば、ボスの身長は六メートル以上だという。
一般的に背が高いと言われる人間の、更に三倍以上の高さ。
身長が三倍だと、縦も横も三倍になるから、えーと三×三×三で、二十七倍の体積となるって聞いたことがある。
つまりは――――
「壁っ、壁ェ!! 早く前出てくれ! 他の奴は下がれぇ――っ!」
「来る、来るって! ちょ、早く早くぅ!」
「うわああああ!!」
圧倒的とも言える質量を持つ攻撃が、あたしたちを襲った。
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